日本の土木遺産

旧天城トンネル
旧天城トンネル南口(河津町側)
■ 旧天城トンネル南口(河津町側)

『伊豆の踊子』の舞台「旧天城トンネル」

伊豆の踊子文学碑(水生地下)
■ 伊豆の踊子文学碑(水生地下)

「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた」川端康成の名作『伊豆の踊子』の書き出しである。この小説の舞台となった天城峠は、静岡県伊豆の下田から三島に抜ける下田街道(現国道414 号)の河津町と天城湯ヶ島町との町境にある。
下田街道は、江戸時代末期に黒船来航と下田開港に伴って頻繁に利用されるようになったため、1893年から道路の改良が行われたが、途中の天城越えが最大の難所となっていた。そのため、1900年に天城山隧道(旧天城トンネル)の建設が始まり、1905年に全長446m、幅員4.1mの重厚な石造りのトンネルが開通した。
旧天城トンネルは大仁町で産出される吉田石を使った石巻工法によって建設された。日本に現存する石造り道路トンネルの中でも、最大長を有する貴重な土木遺産である。さらに、坑門及びトンネル内部覆工の全体に及ぶ切石積みと、両坑門の要所に施された多彩な石材加工には、精妙な技術が存分に発揮され、技術的完成度が高い。供用以来100 年の時を経て、今なお息づく明治の知恵と職人技には今更ながら驚かされる。天城路は1986年8月に「日本の道100選」に選ばれて、その天城路の象徴的存在である旧天城トンネルは、2001 年6 月にトンネルとしては初めて国の重要文化財に指定された。

【アクセス】
伊豆箱根鉄道駿豆線「修善寺駅」より東海バス河津駅行で45分、天城峠下車、徒歩10分。

【地図】
googleマップで旧天城トンネルの位置を確認する

「Consultant」218号
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建設コンサルタンツ協会