日本の土木遺産

大河津分水路
右が信濃川で左が大河津分水路
■ 右が信濃川で左が大河津分水路

日本一大規模な放水路「大河津分水路」

大河津分水路の可動堰
■ 大河津分水路の可動堰

大河津(おおこうづ)分水路は、河口から約55km、新潟県のほぼ中央部で信濃川が日本海に最も近づく地点の大河津から寺泊海岸までの全長約10kmを繋いだ人工水路である。信濃川の洪水を日本海へ流し、日本有数の穀倉地帯である越後平野を水害から守っている。
越後平野はかつて、信濃川の度重なる洪水によって壊滅的な被害を受けてきた。往時の信濃川は一旦増水すると堤防が切れ多くの地域が水に浸かり、一度溜まった水は容易にはけなかった。そこで増水した信濃川の水の一部を越後平野に入る前に、日本海へ流す分水施設が大河津村(現在の燕市五千石)に造られた。そこでは、洪水を日本海へ流し、越後平野に安定した水を供給するために、洗堰・固定堰・可動堰の3つの堰が設けられている。
大河津分水路の完成によって、信濃川下流域の農地は水害から解放された。かつて腰まで水に浸かっていた湿田は、土地改良もあいまって水はけの良い乾田に変わり、機械化も行なえるようになった。昔の新潟の米は、まずくて鳥さえ食べないという意味から「鳥またぎ米」と呼ばれていたこともあった。しかし乾田化されたことで、コシヒカリのようなおいしい米も収穫できるようになり、今や越後平野は日本有数の穀倉地帯となった。

【アクセス】
JR越後線「分水駅」よりタクシーで約10分。越後交通バスで「公園入口」下車。徒歩10分。

【地図】
googleマップで大河津分水路の位置を確認する

「Consultant」238号
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「土木遺産 日本編」 <<コチラにも掲載されています。
「土木遺産 日本編」
ダイヤモンド社刊

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