日本の土木遺産

北防波堤ドーム
ドーム形状が美しい北防波堤ドーム
■ ドーム形状が美しい北防波堤ドーム

稚内港のシンボル、日本最北の地の土木遺産「稚内港北防波堤ドーム」

稚泊航路記念碑と北防波堤ドーム
■ 稚泊航路記念碑と北防波堤ドーム

日本最北の地として知られる稚内。そこには、かつての繁栄を支えた稚泊(ちはく)航路の歴史を語る巨大な建造物、「稚内港北防波堤ドーム」がある。70本もの柱列とドーム型の屋根が防波堤に沿って波の掩蓋(えんがい)を支える。独特の形状を持ったアーチ状の上部工は、自然の力をしなやかに受け止めるデザインを追い求めた結果、古代ローマ時代の建築物を思わせるものとなった。高さ13.6m、長さ424mの防波堤ドームは1936年、に完成した。
北防波堤ドーム内には、稚内桟橋駅が設けられ、稚内港駅(現稚内駅)からドーム内まで鉄道が延伸された。乗客は稚内桟橋駅で列車を降り、ドームを歩いて桟橋を渡り、岸壁に横付けされた樺太連絡船に乗り込んでいった。稚泊航路は、1945年にソ連軍の南樺太侵攻により閉鎖されるまでに284 万人もの人々を送客した。ドームの南側には、苦難と栄光の稚泊航路の業績を称えた記念碑が建立されている。
稚泊航路の閉鎖以降、北防波堤ドームは石炭貯炭場や資材倉庫として利用されていたが、過酷な自然環境は時間の経過とともに北防波堤ドームを蝕んでいった。市民からの強い保存要請を受け、1978〜1980年にかけて原型のまま改修復元された。北防波堤ドームは、現在、利尻・礼文の離島へ渡るフェリー埠頭として、今も昔と変わりなく北の荒波と闘い続けている。

【アクセス】
北海道JR宗谷本線「稚内駅」下車。徒歩5分。

【地図】
googleマップで北防波堤ドームの位置を確認する

「Consultant」234号

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「土木遺産 日本編」 <<コチラにも掲載されています。
「土木遺産 日本編」
ダイヤモンド社刊

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