日本の土木遺産

生振捷水路
生振捷水路と蛇行する旧河道
■ 生振捷水路と蛇行する旧河道

北海道初の本格的治水事業「生振捷水路」

広い川幅の生振捷水路
■ 広い川幅の生振捷水路

捷水路(しょうすいろ)とは河川の氾濫の原因である蛇行部を直線化するために設けられた人工水路である。北海道のほぼ中央に位置する石狩岳に端を発し、上川盆地の中心である旭川から石狩平野を抜けて石狩湾に注ぐ石狩川には、本川だけで29の捷水路がある。そのため現在の石狩川は捷水路により58.1km短い268kmになった。
中でも石狩川で最初に着手された生振(おやふる)捷水路は、河口から約9〜12km上流に位置し、延長3,655m、幅約870mと最大の規模である。北海道初の本格的な治水事業であり、石狩平野を「人々が暮らせる場所」にしたきっかけとなった。火山灰を含んだ独特の黄土色の水面はゆったりと流れ、緑に覆われた広い河川敷は、人工水路には見えない。
本格的な治水事業が始まって100年近く、生振捷水路が通水して80年近くが経過した。石狩平野の発展に伴って石狩川の流量は見直され、河道断面積確保のため低水路が拡幅・浚渫されている。低水路の掘削土は堤防の盛り土として利用され、独特の丘陵堤の景観を形作っている。
蛇行していた往時の姿を残す周辺の旧河道は、取排水路、漁場、レジャーの場として利用されている。旧河道のほとりで強く吹きつける風を感じれば、原始の石狩川の姿と、この大河に立ち向かった先人達に思いを馳せることができるだろう。

【アクセス】
JR札幌駅より函館本線で約30分「あいの里公園」駅下車。

【地図】
googleマップで生振捷水路の位置を確認する

「Consultant」246号

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