日本の土木遺産

笹流ダム
格子状の外観を残す笹流ダム
■ 格子状の外観を残す笹流ダム

日本初のバットレスダム「笹流ダム」

笹流貯水池鳥瞰
■ 笹流貯水池鳥瞰

函館山と赤レンガ倉庫群で有名な函館の市街地から車でおよそ20分。桜と広葉樹が整然と植えられた樹林地を抜けると、芝生広場の向こうに、コンクリートの柱が格子状に連なる笹流ダムが姿を現す。そのいでたちは、まるで中世の欧州の城郭や古代の水道橋を想わせる。
笹流ダムは、函館市民の水道水源用ダムとして1923年に竣工した日本初のバットレスダムである。バットレスダムとは、水圧を受ける遮水壁を扶壁(バットレス)が支える構造形式である。ダム正面の広場の片隅にある「石碑」には、ダムの由来とともに竣工当時の笹流ダムの写真が刻まれている。
函館は1858年の日米修好通商条約の締結により、横浜や長崎とともに日本最初の国際貿易港の一つとして開港した。そのため日本の西欧文化の受け入れ口として、明治初期から多くの西欧式近代施設が整備された。そのため早くから上水道の整備が進められ、その水源施設として建設されたものである。
笹流ダムは、2001年には土木学会選奨土木遺産に、2009年には経済産業省の近代化産業遺産として認定される一方、今なお函館市民の水がめとして機能し続けている。

【アクセス】
函館駅から赤川行きバスで約40分。終点「赤川」下車、徒歩30分でダム公園へ。

【地図】
googleマップで笹流ダムの位置を確認する

「Consultant」247号

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建設コンサルタンツ協会