日本の土木遺産

アカタン砂防
谷間にどっしり構える6号松ヶ端堰堤
■ 谷間にどっしり構える6号松ヶ端堰堤

明治時代に築造された砂防堰堤群「アカタン砂防」

松が端堰堤を構成する巨石
■ 松が端堰堤を構成する巨石

アカタン砂防は、福井県の南端、岐阜県と接する南越前町(旧今庄町)の古木地区の赤谷川に、明治30年代に福井県の第1期砂防事業として築かれた9基の堰堤群である。最大の堰堤は、堤長112m、高さ11mにも及ぶ巨大なものである。建設機械のない時代に人力によって築造され、100年以上経過した今も十分機能し続けている。旧今庄町は古くから京都と北陸を結ぶ交通の要衝として栄えてきた場所である。
古木地区は、急峻な山が迫る谷間の平地に水田が広がり、里山という言葉がふさわしい。赤谷川の広い谷を遡ると、杉林になっている九号堰堤の斜面が見えてくる。導流堤の石積みや堰堤の直線の形を見なければ、自然の地形かと見間違えそうなほど周囲の環境と調和した姿である。
アカタン砂防は、赤谷川の流路を一定させ、被害を拡大させないために、上流部では谷の浸食を食い止め、下流部では堆積物の流下を防ぐよう、赤谷川全体の地形に配慮して造られている。9基の堰堤群より上流にも、小規模な堰堤や流路工がある。
赤谷川は地元の人から「アカタン」と呼ばれ、堰堤群は「アカタン砂防」の名称で親しまれている。2004年に国の登録有形文化財に登録された。

【アクセス】
JR北陸本線今庄駅から車で、365号線、476号線利用、車で約10Km。

【地図】
googleマップでアカタン砂防の位置を確認する

「Consultant」240号

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建設コンサルタンツ協会