日本の土木遺産

長浜大橋
秋から冬に掛けての早朝、霧を伴った冷気風「肱川あらし」が吹き抜ける
■ 秋から冬に掛けての早朝、霧を伴った冷気風「肱川あらし」が吹き抜ける

国内最古の道路可動橋「長浜大橋」

開閉中の長浜大橋
■ 開閉中の長浜大橋

愛媛県松山駅から、JR予讃線で車窓に広がる真っ青な瀬戸内海伊予灘を眺めながら約1時間。「伊予長浜駅」で降りて大洲市長浜町商店街を抜けると、自然豊かな港町といささか不釣り合いな朱塗の厳つい橋が姿を現す。一級河川「肱川」の河口に架かる現役で国内最古の道路可動橋「長浜大橋」である。
この橋は、全長226m、幅員5.5m、7径間からなり、右岸から3径間目が可動して橋が開閉する。可動部分の支間長は15.6m、可動桁は長さ18m、重量82t、中央のカウンターウェイトがおもりの役目をして開閉の力を軽くする構造になっている。
「森の音楽家」のメロディーと共に、実にスムーズに橋が開く。開閉に要する時間は概ね3分。今では、週に一度日曜日の午後1時に点検と観光の為に開閉されるのみであるが、架橋当時は、肱川流域から産出される砂利、木材の運搬船が日に何隻も行き交っていた。
現在の長浜大橋は、地元の生活道路として利用され、車、自転車、歩行者が行き交い、すれ違う歩行者と自転車が橋の上で足を止め談笑する。地元の人は愛着を込めてこの橋を「赤橋」と呼ぶ。のどかな町と不釣り合いに見えた橋は、帰路につく頃には、そこにあってしかるべき当たり前の光景に思えた。

【アクセス】
愛媛県松山駅よりJR予讃線で「伊予長浜駅」下車。徒歩800m。

【地図】
googleマップで長浜大橋の位置を確認する

「Consultant」224号

さらに詳しくご覧になりた方は、
<<「Consultant」224号 掲載記事へ

掲載記事をご覧になるには
Adobe Reader
が必要です。

「土木遺産 日本編」 <<コチラにも掲載されています。
「土木遺産 日本編」
ダイヤモンド社刊

建設コンサルタンツ協会