日本の土木遺産

手結港(内港)
小型船が係留されている手結内港
■ 小型船が係留されている手結内港

江戸初期の築港技術を示す港湾遺産「手結内港」

350年前の建設当時の岸壁
■ 350年前の建設当時の岸壁

手結内(ていない)港は景勝地で有名な桂浜から室戸岬へと伸びる海岸線に沿って約18kmに位置する香南市夜須町にある、建設から約350年を経た石積みの港である。
この港の建設年代は文献によって異なるようだが、通説では建設地に露出する高い岩盤の試掘などの予備調査を経て1652年に着工し3年後の1655年に完成したとされる。その水域の規模は、南北約110m、東西約50m、水深は干潮時で約3mという江戸時代初期としては最大級の港である。
手結港は海岸の岩礁地帯の入江を掘削して造られた。一般的には日本最初の本格的な掘込港湾といわれる。一方で、岩礁地帯の窪地に石垣を築いて背後を埋め立てて建設されたため、埋立港湾に分類されるという説もある。岩礁地帯における築港とはいえ、一部軟弱な地盤があったようで、木材を敷き詰め、その上に石垣を築き対処している。石材は近隣から船で運搬したそうである。
建設されてから350年という長い年月と近代化の中で、港としての主要な役割は大正期に建設された外港へと移されたが、今でも漁船が係留され使われ続けている現役の港である。

【アクセス】
JR高知駅よりJR土讃線(奈半利行き)で約50分「夜須」下車。徒歩15分。

【地図】
googleマップで手結港(内港)の位置を確認する

「Consultant」244号

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建設コンサルタンツ協会