世界の土木遺産

安済橋(趙州橋)
安定感と技術の高さが伺える安済橋
■ 安定感と技術の高さが伺える安済橋

匠の作ったアーチ橋「安済橋(趙州橋)」

1400 年の長きにわたって使い続けられている安済橋
■ 1400 年の長きにわたって使い続けられている
安済橋

中国河北省の省都・石家荘から東南へ40kmほどにある趙県は、西遊記で有名な玄奘三蔵が一時学んだという柏林寺が現在も残る、長い歴史を持つ町である。この町の郊外に架かる安済橋は、1400 年の長きにわたり使用されてきた石造りのアーチ橋である。安済橋は「趙州橋」「趙州大石橋」とも呼ばれている。安済橋のアーチ支間は建設後730年余り世界一を誇った。さらに力学的に難しい構造である弓のような平坦なアーチを超える石橋は、その後950年余り現れなかった。
その昔、趙県は交通の要所であったが、南方約3kmにある幅約50mの川に行く手を阻まれていた。道には行き交う人々が溢れ、川には船が絶えることがなかったことから、歩きやすく、船の通行を阻害しない、平坦で橋脚のない橋の建設が求められた。そこで当時の工匠である李春の手により、非常に平坦なアーチ橋が造られた。完成は595〜605年の間であったと考えられている。その後、橋面や欄干は交換されたが、橋の主な骨組みは建造時のまま使い続けられた。1984年まではバスやトラックが通行した。1400 年間の風雪に耐え、地震や洪水などの幾多の天災に曝され、建設当時には想像もつかなかった自動車荷重を支え続けてきた構造は、驚きを越え、神々しささえ感じられる。

【アクセス】
石家荘より車で安済大道(G308)を道沿いに約40kmで公園入口。石家荘へは北京より高速で4時間。

【地図】
googleマップで安済橋(趙州橋)の位置を確認する

「Consultant」226号

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「土木遺産II アジア編」 <<コチラにも掲載されています。
「土木遺産II アジア編」
ダイヤモンド社刊

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