李氏朝鮮王朝500年の都として栄えたソウルは、現在も韓国の首都として発展を続ける街である。ソウルで一番の繁華街である明洞から北に2km
ほどのところにある昌徳宮の裏には、秘苑と呼ばれる代表的な宮殿庭苑がある。李氏朝鮮時代の造園の粋といわれ、伝統的な造景手法がいまもよく保存されている。 昌徳宮は1404年9月に第3代国王太宗が造営を命じ、1405年10月に完成した。その後、王宮の拡張を進め、全ての工事が終わったのは1460年第7代国王世祖の時代である。秘苑はその時に王宮の庭園として作られた。 昌徳宮は正宮である景福宮の離宮として建設されたが、景福宮が戦災や火災で使えなくなると、国王は昌徳宮で政務を執り生活を送った。その期間は270年にも及び、正宮である景福宮よりも長かった。そのため、昌徳宮と秘苑は今でも当時の国王の生活色を濃く残している。 幾多の国々において宮殿庭苑は華美なものが多い。しかしこの庭苑を訪れた人は、王宮の庭苑でありながら華麗なところが全くないことに戸惑いを覚えるかもしれない。また、京都の石庭のような人工的な造園でもないことを不思議に思い、東西500m南北800mにも及ぶ広さに驚くだろう。ここは、あくまでも美しい自然をそのままに、建築物や樹木、渓流、歩道が自然と一体になるように配置された広大な庭苑である。
【アクセス】 仁川空港からリムジンバスで約90分でソウル市内。地下鉄3号線で安国駅下車、徒歩6分。
【地図】
googleマップで昌徳宮の秘苑の位置を確認する
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