世界の土木遺産

チャオプラヤ運河網(タイ・バンコク)
今も舟運が盛んなトンブリの運河
■ 今も舟運が盛んなトンブリの運河

天使の都に繁栄をもたらした「チャオプラヤ運河網」

バンコクからトンブリへ向うチャオプラヤ川の渡し船
■ バンコクからトンブリへ向う
チャオプラヤ川の渡し船

クルンテープ(天使の都)と呼ばれるタイの首都バンコクは、タイ中部を流れるチャオプラヤ川下流のデルタ地帯に位置し「東洋のヴェネツィア」と例えられるほど運河が縦横に巡らされている。東南アジアにおいて唯一植民地支配を受けなかったバンコクは、始祖ラーマI世が1782 年トンブリから遷都して以来、今日では人口約800万人を数える東南アジア屈指の大都市となった。
遷都後ラーマI世は、1771年にトンブリ朝が開削したバンコク最初のロート運河を湾曲型に改修するとともに、外側にバンランプー・オンアン運河を新たに開削し、さらにその内側に城壁を築いた。二重の運河とチャオプラヤ川に挟まれた川中島には、約346haの環濠城壁都市バンコクが誕生した。その後、両運河を東西に結ぶマハーン運河とラーチャポビット運河が開削されて城内の運河網が完成した。そして、バンコクの市街地が東側に拡大していく中で、運河も数多く開削されてきた。
また、運河開削の残土を利用して運河沿いに道路が敷設された。現在ラーマIV世通りと呼ばれるトロン通りは、1857年ファランポーン運河の開削土を利用して建設されたものである。同様に1862年にはシーロム通り、1888年にはサートーン通りが建設された。バンコクで今日利用されている主要道路の大半はこの時期に整備されたものである。

【アクセス】
空港よりバス約2時間でオンヌットへ。ここからBTS高架電車にてサバーンタクシン駅で下車。近くの桟橋からチャオプラヤーエキスプレスボートを利用。

【地図】
googleマップでチャオプラヤ運河網の位置を確認する

「Consultant」230号

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「土木遺産II アジア編」 <<コチラにも掲載されています。
「土木遺産II アジア編」
ダイヤモンド社刊

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