世界の土木遺産

鎖橋(ハンガリー、ブダペスト)   
ゲレルトの丘からの鎖橋の眺望
■ ゲレルトの丘からの鎖橋の眺望

ブダペストに架かる重厚な鉄の吊橋「鎖橋」

王宮の丘から見下ろした鎖橋
■ 王宮の丘から見下ろした鎖橋

ハンガリーの首都ブダペストは、「ドナウの真珠」あるいは「ドナウの薔薇」とも呼ばれる美しい水都である。都市の中央をドナウ川が流れ、西側の王宮を擁するブダ、東側の商業都市ペシュトという東西の性格の異なる都市を一つの都市ブダペストとして結んでいるのが鎖橋である。
ドナウ架橋が実現する以前、ブダとペシュトは洪水のたびに流される危険な浮き橋で結ばれ、たやすく横断できる状態ではなかった。それを変えたのが鎖橋である。その後、ドナウ川には次々と異なる構造形式の橋が架けられていくが、中でも鎖橋は、最初の橋にして最も美しい橋といわれる。
ドナウ架橋を後押ししたのは、イシュトバーン・セーチェニー伯である。セーチェニー伯は鎖橋を発想し、計画を作り、資金調達を行い実現まで漕ぎつけた。そのため鎖橋は、正式にはセーチェニー橋と呼ばれる。
1839 年、イギリスのT.W.クラークが設計し、アダム・クラークが施工にあたった。10年後の1849年、鎖橋はブダとペシュトを初めて永久に繋ぐ橋として完成し、以降ハンガリーの首都を彩るシンボルとなった。鎖橋は延長375m、幅員16mで、両岸には一対の石造の塔門が配されている。橋桁を吊るチェーン(鎖)はイギリス、桁はハンガリーでそれぞれ鋳造された。その202mの中央径間は、建設当時有数の大スパンを誇った。

【アクセス】
空港からブダペスト市内までは車で約40分。

【地図】
googleマップで鎖橋の位置を確認する

「Consultant」222号

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ダイヤモンド社刊

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