観光
-地域の光をうみ出す-
心の豊かさへの訴求が言われるようになって久しい。
人々が経済的に豊かになり、海外旅行の急速な伸びが注目され、そして国内旅行が減少していることが指摘されているが、国内旅行の延べ人数は年間約3億人を超え、海外旅行人数の年間約1千万人強に比べれば圧倒的だ。
観光行政は地方主導、民間主導で進められてきたが、今地方の生き残りをかけた「交流人口という観光地間競争」が激化してきている。
そして、国内旅行のみならず、アジア、欧米からの海外旅行者の取り込みにも積極的だ。
今、観光に対する注目が高まっているが、そもそもお伊勢参りや温泉療養、東海道中膝栗毛に語られる観光の歴史には、「お国の光」を見ながらの物見遊山、日常の心身の疲れを癒すという観光文化が日本には定着していたのではなかろうか。
一方で、観光は団体旅行から個人旅行へ、「見ること」のみならず、「癒しや学び」へとニーズも変化してきており、地域に重層的に蓄積された生活や産業資源に根ざす「ホンモノ」が求められてきている。
今後、観光が脚光を浴びようとしている中で、観光の本来目指すべき方向を見誤ることなく、地に足をつけた観光が地域に根付くために、社会基盤整備に携わるものが持つべき指針を改めて見つめてみたい。
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