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時間が増えたとか、農作業ができるようになったとか、いろいろあると思います。井戸があるだけで、生活は劇的に変わります。日本の技術で造られた、しばらく雨が降らなくても枯渇しない性能の良い井戸です。私が造ったわけではないのですが、村の皆さんは「井戸をありがとう。とても生活が良くなった」と言って下さいます。生活の中に、いつでも利用できる安心安全な水があるということは、「こんなに皆さんが喜び、希望を感じていただけるものなのだ」と強く感じました。井戸の性能が良くても、壊れた時に修理ができないのでは元も子もないので、きちんと修理のできる技術者も養成しています。また、地域の人達に井戸の使い方のレクチャーも行っています。字が読めない方もいるので、大きなボードに絵と一緒に「井戸の周りをトイレ代わりにしてはいけません」「洗濯をしてはいけません」「家畜を洗ってはいけません」といった注意事項が説明されていて、きめの細やかな配慮だと思いました。カンボジアでは井戸があるところも多いのですが、管理が行き届かず不衛生な場合もあるので、井戸の水が必ずしも安全だとは限りません。井戸水でお腹をこわすということがよくあるようです。ですから、井戸の使い方を伝えることも大切です。アフリカへはガーナとタンザニアの2か国に行きましたが、やはり水は不足していました。水の問題は経済的に貧しい国々に行き着きます。5年前に行ったパキスタンでは、私の離国後すぐに大きな水害が起こりました。水は多過ぎても問題になります。毎年水害が起こることがわかっていても、生活するには水が不可欠で、貧しい人達は川の近くに住んでしまいます。UNDPは日本から多くの資金を頂き、共同の途上国支援プロジェクトもありますが、残念ながら日本ではあまり知られていません。皆さんにその活動をもっと知って頂けるように微力ながら私が親善大使として活動しています。途上国での経験談を地方自治体や学校などで、「UNDPと言う国連の機関があって、このような活動をしています。世界にはこんな国々があります」などと伝えています。日本のように蛇口をひねれば清潔な水が出て、毎日温かいお風呂に入れることは、非常にありがたいと思います。当たり前にきれいな水を使うことができる環境の中で、「水を大切に」と伝えるのは難しいですが、地道な活動を続けていきたいと思っています。カンボジア・コンポンチャム州メモル村の井戸水をかぶる少年(cShinji Shinoda)紺野美沙子KONNO Misakoプロフィール俳優。東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒。1980年、NHK連続テレビ小説『虹を織る』のヒロイン役で人気を博す。『武田信玄』『あすか』など多数のドラマに出演。舞台『細雪』(原作:谷崎潤一郎)では三女・雪子役を好演。他に『オットーと呼ばれる日本人』(作:木下順二)、『きんぎょの夢』(原作:向田邦子)、『日本の面影』」(作:山田太一)など、硬軟を問わず意欲的に取り組む。テレビ・映画・舞台で活躍する一方、1998年、国連開発計画親善大使の任命を受け、カンボジア・パレスチナ・タンザニア・東ティモール他、アジア・アフリカの各国を視察するなど、国際協力の分野でも活動中。著書に、親善大使として訪れた国や人々について綴った『ラララ親善大使』(小学館刊)がある。2010年秋から「紺野美沙子の朗読座」を主宰。音楽や影絵や映像など、様々なジャンルのアートと朗読を組み合わせたパフォーマンスや、ドラマリーディングを定期的に続けている。Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015009