ブックタイトルConsultant267号

ページ
12/88

このページは Consultant267号 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant267号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant267号

特集水の世紀?水ビジネスが世界を変える?1循環する水資源沖大幹OKI Taikan東京大学生産技術研究所教授水の惑星と呼ばれる地球上には私たちの利用に十分な量の水が循環している。それにもかかわらず生じる水問題は、水資源の時間的・空間的な偏りや安価な資源であることに起因する。解決には安全な水を安定して供給できる施設の整備や、国内では社会基盤のコンパクト化などが必要である。水の惑星水の惑星と呼ばれる地球だが、海や氷床、地下水として地球の表面付近に存在する水は地球全体の重さの約0.02%、1/5,000に過ぎない。地殻やマントルにも水が大量に含まれていてそれらの流動を助けていると推定されているが、いったいどのくらいの水が含まれているのかについてはまだ良くわかっていない。地球表面を覆う海の水は蒸発して水蒸気になり、凝結して雲となり、雪や雨として地上に降り注ぎ、再び蒸発したり地中に浸み込んで川となったりし、いずれは海に戻るといった水循環を構成している。たとえ地球全体に比べると量としてはわずかでも、すべての生き物が暮らす地球の表面付近にはふんだんに存在し、循環し、数千年、数万年といった時間スケールではその総量は変化せず、けっして増えも減りもしないのが地球の水である。にアクセスがある」とみなされるので、8億人弱の人々は往復30分以上かけて安全な水を得ているか、身近だが安全ではない水を飲んで健康リスクを負っている。また、高収量品種の開発、人工的な合成肥料や病虫害防除剤の普及、そして灌漑施設の整備などによって、人口増大の伸びを超える食料増産を人類は成し遂げ、絶対的な食料不足を克服した。しかし、その代償として人類の水使用は増え続け、1900年には年間600km 3にも満たなかった全世界の水資源取水量は、人口が分布の偏りが問題それなのに、なぜ今、世界では水が問題になっているのであろうか。例えば、世界には2010年時点で、いまだに8億人弱の人々が安全な水にアクセスできないという。自宅に水道がなくとも、自宅から1km、歩いて約15分のところに安全な水を得られる井戸や共同水栓などがあれば「安全な水写真1エジプト・アスワンのナイル川河畔のナイロメータ。右側の壁に刻まれた溝でナイル川の水位が計測されていた。上への階段は10m以上つながっている(2004年10月著者撮影)010Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015