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約3.7倍に増えた2000年には約4,000km 3と約6.7倍にも増えている。この伸びには工業用水使用量の増大の寄与も含まれており、2025年には年間5,000km 3を超えるという推計もある。それでも全陸地を合わせると年間40,000km 3以上利用可能だと推計される最大限利用可能な水資源量に比べると人間が利用している量はごく一部であり、たとえ世界人口が100億人に増えても世界には十分な水資源があるように一見考えられる。それなのに水が足りなくなるのは、利用可能な水資源の分布が季節的にも地理的にも偏っているからである。安すぎる水の価格季節的な偏りに関しては、利用可能な水資源量が多い時期に貯留して足りない時期に使えばよいではないか、地理的な偏りに関しては水資源量が多い地域から少ない地域に運べば解消するではないか、と思われるかもしれない。しかし問題は、水が非常に安価だ、という点にある。日本における重さ1tあたりの価格は上水道で約170円弱、工業用水で20数円、農業用水は従量課金ではないのが通常であるが利用量と負担金から算定すると3~4円程度となる。古新聞や古雑誌が1kgで約10円、1tなら約1万円、鉄くずスクラップが2~3万円程度であるのに比べると、たとえリサイクルされるとはいえ、いわば「ゴミ」である古紙や鉄くずの約1/100の価格で安全な飲み水が供給されているのである。もちろん、ペットボトルなどに詰められた瓶詰め水は水道水の約1,000倍、1tあたり10~30万円であり、「ゴミ」よりは高いが、瓶詰め水は水というよりは甘くないジュース、カフェインの入っていない珈琲、あるいは味のな地球上の水文循環量と貯留量(OkiandKanae,Science,2006)図1 地球上の水循環の模式図で循環量(1,000km 3 /年)と貯留量(1,000km 3)が示されている。南極大陸に関しては雪氷のみ算入されている。大きな矢印は陸上と海洋上における年総降水量と年総蒸発散量(1,000km 3 /年)を示し、陸上の総降水量や総蒸発散量には小さな矢印で主要な土地利用ごとに示した年降水量や年蒸発散量を含む。()は主要な土地利用の陸上の総面積(百万k m 2)を示す。河川流出量の約1 0%と推定されている地下水から海洋への直接流出量は河川流出量に含まれている(Oki and Kanae、Science、2006)流出量(mm/年)=年水資源賦在量に相当(Oki and Kanae, Science, 2006)図2 年水資源賦在量(潜在的に最大利用可能な水資源量)に相当する流出量(mm/年)。河川へと流れ込む量であり、長期間平均では降水量と蒸発散量との差に相当する。Kim et al.(2009)に基づき、1979 ?2007年の29年間の平均値であるいお茶、すなわち清涼飲料だと考えるべきである。水道水などが安いのは悪いことではないが、貯留や輸送のコストが相対的に高くついてしまうのが問題となる。例えば、東京から大阪に物資をトラック輸送するには重さ1tあたり1万円弱かかる。瓶詰め水ならば数%のCivil Engineering Consultant VOL.267 April 2015011