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図7南水北調の東線、中線、西線の経路写真1東線の済平幹線渠年の流域人口は210万人、この水に依存している流域外の人口は130万人である。2012年の農業生産額は67億AU$(6,500億円)でオーストラリアの50%を生産している。関係州はNew South Wales、South Australia、Victoria、Queenslandの4州である(図8)。ヨーロッパからの入植後、開拓が進み、市街地を除くと牧草地や農耕地となっている。開発のために樹林(特に根の深いユーカリ)を伐採したために浸透水量を増し、その結果、地下水の河川への流出量が増え、河川水の塩分を一層増加させることになった。この流域の河川水は下流ほど塩分が高くなる。現在の状況がそのまま進展すると、2020年には地下水面が地表面下2mまで近づき、地表近傍の塩害を招くと予測されている。そのために、各州の閣僚がメンバーである流域委員会では水資源配分、塩分・排水方策、地下水分布図の製作等を実施し、流域の利害の調整を図っている。2012年には流域計画が承認され、取水可能上限13兆m 3のうち11.5兆m 3が灌漑用となっている。また、塩分・排水方策として塩水を汲み上げて地下水位を下げるとともに、塩水ラグーンにおける蒸発残渣の塩を野積みすることもなされている(写真2)。さらに、南部流域では灌漑マネジメント方策として環境に配慮した水利権市場を整備しており、生産物、特に米と綿花の購入希望者の意向を受けて、農家は前年度に翌年の水利権を入札、購入することが行われている。この地域の生態系保全方策は極めて優れており、ヨーロッパのものを手本にしながら独自のものとして発展させている。図8オーストラリアマレー川、ダーリング川流域<図・写真提供>図7黄河断流及其生態環境影響黄河水資源管理写真2 Arthur Mostead写真2ニューサウスウエールズの塩分除去プロジェクトCivil Engineering Consultant VOL.267 April 2015017