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特集水の世紀?水ビジネスが世界を変える?3水を大切に使う知恵?水の循環エコシステム「かばた」?前田典子MAEDA Noriko針江生水の郷委員会何気ない日常の暮らしの中にあった「かばた文化」。その価値を周りの人たちから教えられた針江の人たちは、水との暮らしのあり方を見つめることで、水や水が育むものの大切さに気づき、「かばた」とともにある暮らしを世界に発信している。湧水の郷「針江」滋賀県高島市、琵琶湖の湖西地方となる針江の春は、比良山系の山雪が融け消える頃に暖かな春の陽ざしを浴びる。瑠璃色のさざ波に水鳥が羽ばたき、湖岸を歩けばすべての生き物の息吹を感じられる。私たちの住むこの町には、唱歌『春の小川』のように、未だ日本の原風景が残っている。集落を流れる針江大川は、きれいな湧水が滔々と流れ、琵琶湖へと注ぐ。針江の上下水道はほぼ完備しているが、集落の110軒余りの家では「かばた(川端)」と呼ばれる自家湧水による生活用水システムや、川底から自噴している恵みの湧水を使っている。私たちはこの湧水しょうずを「生まれる水・生水」と呼び、まろやかなおいしい軟水を生活用水として昔から大切に利用している。伏流水「生水」が各家の「かばた」から流れ出て集落の水路を巡り、針江大川に流れ込む。昔の台所が最近ではエコキッチンシステム「かばた」と称され、「かばた文化」が人と人、人と自然、人と生き物とのつながりをもち、重要なキーワードとなっている。比良山系から様々な川が流れ込む高島市は、琵琶湖の水量の38%を供給している。針江は、その川の一つとなる大きな安曇川の扇状地の北部に在り、伏流水が豊富に湧き出し、冬は積雪の多い地域でもある。生活の中に息づく「かばた文化」琵琶湖は日本最大の貯水量をもち、その水は瀬田川・宇治川・淀川と名前を変えて大阪湾へと流れ出る。川水は流域の上水道として利用され、1,450万人の水瓶としての機能を担っている。また、魚類等50種類以上の固有種が生息する。写真1水路の見学写真2川遊び018Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015