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写真4内かばた写真5外かばた写真6壷池写真7針江大川写真8梅花藻巡って針江大川から琵琶湖に注ぎ大海へ流れる。湖や海から蒸発した水は雲となり、やがて雨や雪となって比良山系に降り、地下に浸透し長い道のりを経て再び湧水として「かばた」へ辿りつく。これが究極の循環エコシステム「かばた」である。「かばた」は地域によって名称は違えど、ひと昔ほど前には日本のあちこちで見かけた光景であったはずだ。私たちの「かばた」は自然の猛威に苛まれたり、都市計画で存続が危ぶまれもしたが、止まることを知らない湧水をわざわざ止める必要はない。自然の恵みに逆らわず、山から里へ、私たちに水を供給してくれるこんな有り難いことはない。それによって生き物全てが良い環境に保たれている。「かばた」の生水は大切で神聖なものとして、年2回、山の神と里の神に五穀豊穣と水に感謝する慣わし「たなかみさん(田の神さん)」を祀り、崇めている。「かばた」の水を大切にする想い針江大川の水は、護岸や川底からも「生水」が湧き出ているため一年中きれいさが保たれている。川底にはばいかも梅花藻が繁殖し、ニゴイ・アユ・ハヤ・ビワマスが遡上する。夏には、時間を忘れるほど川下りや魚つかみに没頭する子どもたちの格好の遊び場となる。もちろん蛍も見られる。針江大川をきれいに保ち、ひいては琵琶湖の環境を保全するために様々な活動を行っている。その一つとして、昔から年4回住民総出で、針江大川の藻刈り清掃を行っている。これにより魚や昆虫、鳥たちにとってもよい環境をつくっている。琵琶湖岸に生育しているヨシは、琵琶湖の水の浄化と魚のゆりかごにもなる大切なものであり、その保全のため、12月にヨシ刈りをし、2月にヨシを燃やして新芽を促している。春には、湖岸一帯に黄緑色のノウルシも見られ、琵琶湖一の群生地となっている。農薬を含む農業廃水を琵琶湖に流してダメージを与えた反省から、有機農法に力を入れている。有機農法田に魚道を作ると、田植えの後にナマズが水田に遡上して来る。ナマズの雌に雄が巻き付いて産卵し、その後、育った稚魚が水路を下り琵琶湖に戻って行く。有機農法田の土を掘り返すと、ミミズや蛙などの生き物が多く見受けられる。それらを食べにサギが集まって来る。成長した稲にはヤゴの抜け殻が多く、冬の間水田に水をはるとコハクチョウも飛来する。そして絶滅危惧種のスジシマドジョウ、ナゴヤダルマガエルも沢山育っている。020Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015