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MBRRO図3MBR-RO実証プラント外観パイラル膜が開発されてきており、個々の技術は日進月歩である。また、RO海水淡水化施設からは必ずRO膜濃縮海水が発生し、その濃縮海水の放流による環境影響の問題は無視できない。このNEDOプロジェクトでは、北九州ウォータープラザ1)において、MBR下水処理水との組み合わせにより、その濃縮海水の問題を解決した技術システムをデモンストレーションし、画期的技術システムとして海外から注目を浴びた。その技術に限らず、北九州ウォータープラザは、水処理革新技術の日本のショーウィンドウとして機能している。写真1 MBR-RO実証プラント見学風景MBR-RO再生水ビジネス図2はアラブ首長国連邦の一つ、ラスアルハイマ首長国の工業団地整備と周辺砂漠地に点在する居住区からタンクローリーで収集される、生活排水の再生利用を組み合わせたビジネスモデルのMBR-RO水再生実証事業概要である7)。まさに砂漠の中に立地し、処理能力2,000m 3 /日のMBRが天蓋のみの屋外設置で、1,000m 3 /日のROは建屋の中で稼働している(図3)。砂嵐にも耐えているようである。周辺諸国からの見学訪問者も多く、注目を集めている(写真1)。工業団地整備が計画通り進めば、十分経営が成り立つビジネスモデルであり、日本企業が請け負うO&M事業として期待される。公民連携が必須の水ビジネス水ビジネスの世界でも、日本の技術は「ものは良いが高い」とよく言われる。現地の状況と必要に合わせ、そこそこの品質保証でよいとも聞かれる。一方で、安かろう悪かろうに懲りると、「次は日本製に」という話も同様によく聞かれる。日本製の高品質ブランドは廃れていない。さじ加減の難しい問題である。技術を売るだけでなく、水システムの経営として海外ビジネス展開せよとの掛け声も高い。多くの水ビジネスは、公民連携が必須である。また水事業は初期投資の嵩む事業でもある。世界でより大きな貢献をするには、公が民の背中を押す、最初の一押しがやはり重要となろう。<参考文献>1)造水技術ハンドブック(追補版)、造水促進センター(2014)2)山本和夫、水環境学会誌、36(A)(11), 405-409(2013)3)田中賢次他、三菱重工技法、46(1), 13-15(2009)4)ササクラ発表資料(2015.1)5)栗原優、竹内弘、水環境学会誌、36(A)(1), 11-14(2013)6)NEDO環境部、「省水型・環境調和型水循環プロジェクト」水循環要素技術研究開発(事後評価)プロジェクト概要(公開)(2014.11)7)篠田猛、配管技術、54(4), 1-14(2013.3)8)大熊那夫紀、膜、38(5), 215-218(2013)<図・写真提供>図3、写真1海外水循環ソリューション技術研究組合提供Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015025