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特集水の世紀?水ビジネスが世界を変える?6国際技術協力から海外水ビジネス展開へ?北九州市の挑戦?中嶋耕朗NAKASHIMA Kourou北九州市/上下水道局海外・広域事業部/海外事業課/課長1 9 6 0年代、深刻な公害問題を克服した経験とノウハウを持つ北九州市。カンボジアでの国際技術協力では、水道環境の飛躍的な向上に貢献した。この経験を水ビジネスとして展開するため、民間との連携を深めた北九州市は、ベトナムでの水道事業に関わる業務を獲得した。公害問題の克服から瀬戸内海から関門海峡を通じて日本海へと広がる豊かな海と、みどり深い山々に囲まれた九州最北端に位置する人口約100万の都市、北九州市。本市は1901年の官営八幡製鐵所の創業以来、重化学工業を中心に発展し、日本の四大工業地帯の一つに数えられた。その一方で、産業発展は深刻な公害問題をもたらし、工場から立ち昇る「七色の煙」による大気汚染や、工場廃水によって「死の海」と呼ばれた洞海湾の水質汚染に市民は悩まされてきた。しかし、市民・企業・行政が一体となって公害対策に取り組んだ結果、1960年代に国内最悪の大気汚染を記録した七色の空は青空を取り戻し、大腸菌さえ住めないと言われた洞海湾には100種類以上の魚介類が生息するまでに至った。本市はこの公害問題を克服する過程で得られた貴重なノウハウを活かして、世界の環境問題に早くから積極的に取り組んできた。ここでは特に、本市上下水道局の海外事業展開について紹介する。特にカンボジアでは、15年以上継続的に技術協力を実施しており、その水道復興に深く携わってきた。1999年、本市は厚生省(当時)と国際協力機構(JICA)の要請を受け、同国のプノンペン水道公社(PPWSA)に、職員1名をJICA個別専門家として派遣し、水道施設の維持管理に係る技術指導及び政策立案支援を行った。具体的には、本市が採用している「配水ブロックシステム」の技術移転である。このシステムは、総延長約1,300kmの配水管網を41のブロックに分割管理し、ブロック単位で流量計と水圧計を設置し、無収水量(主に漏水や盗水で料金を徴収できない水の量)を算定するシステムで、数値の悪いブロックに対して漏水調査や盗水調査を重点的に行い、その対策を講じることによって効率的【技術移転】北九州市が採用している配水ブロックを技術移転【配水ブロック】総延長1300kmの配水管網を41のブロックに分割管理することで、効率的な維持管理を行うカンボジアでの国際技術協力上下水道局では、1990年アフリカのマリ共和国に職員を派遣して以来、これまで海外から約4,000名以上の研修員を受け入れ、約170名の局職員を専門家として海外に送り出してきた。図1配水ブロックの概念図030Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015