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■実施方法本実証調査の実施フローを図2に示す。●作物栽培、除染効果の検証本実証調査で栽培対象とした作物は、再生可能エネルギーとしての利用の観点から燃料転換を行いやすいデントコーン(動物の飼料となる大型のとうもろこし)や、コーリャン(イネ科の穀物のモロコシ)等である。栽培過程において、土壌中の放射性セシウムの含有量や空間線量をモニタリングするとともに、作物収穫時には作物中に含まれる放射性セシウム含有量を分析し、土壌からの除去率※を算出して、植物吸収による除染効果の検証を行った。※)除去率(%)=作物の面積あたり放射性セシウム含有量(Bq/m 2)/表層土壌の面積あたり放射性セシウム含有量(Bq/m 2)(調査は表層15cmの土壌)●作物のエネルギー転換1バイオエタノールへの転換デントコーンやコーリャンの子実を使用し、富岡町内の簡易実験室でエタノール留出液を精製した。精製した留出液の放射性セシウム含有量を調べ、燃料転換時の放射性物質の移行を確認した。バイオエタノールは、将来的に復興用の自動車燃料として利用することを想定した。2ガス化発電用燃料警戒区域外(福島県いわき市)で栽培したデントコーンとコーリャンのうち、バイオエタノール精製に用いる子実以外のバガス(葉や茎等)を木質チップと混合し、いわき市のプラントにおいて発電試験を行った。試験で得られた電気で、電気自動車やパソコンの充電を行った。発電した電力は、将来的に売電して地域の電力として利用することを想定した。●事業化の検討関係機関への聞き取りや補助金の整理、事業収支算定等を行い、事業化にあたっての課題を抽出した。1警戒区域における作物の栽培・デントコーン・コーリャン等2栽培した作物の再生可能エネルギー化・バイオエタノール・ガス化発電等3事業展開の検討・生産過程(農作物)・製造過程(エタノール、ガス化発電)・利用過程(ガソリン販売、売電)図2実施方針概要■実施体制本実証調査の実施体制を図3に示す。富岡町内における作物栽培は、ふるさと生産組合(地元農家の方々)と共に実施した。簡易実験室レベルでのエタノール留出液の精製と放射線の管理は、九州大学に協力いただいた。作物栽培(富岡町外)、プラントでのエタノールの精製、ガス化発電試験は、NPOしまねに協力いただいた。1除染効果の検証【作物栽培期間中のモニタリング】・土壌中の放射性セシウム含有量・空間線量【作物収穫時の分析】・収穫作物中の放射性セシウム含有(吸収)量・除去率の算出2エネルギー転換に係る検証・作付面積あたりエネルギー精製量の算出・エタノールへの放射性セシウムの移行・転換したエネルギーの利用方策(復興用の自動車燃料、電力の供給)3事業展開の検討・事業収支の算定・関係機関への聞き取り・事業化への課題の整理写真1 富岡町原下・毛萱付近の田畑(平成24年4月撮影)(左:震災の影響で放置された牛が田畑を徘徊右:田にはセイタカアワダチソウが繁茂)Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015037