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Project 2 briefプロジェクト紹介東日本大震災で液状化被害のあった採掘跡地の液状化対策和田陽介WADA Yousuke株式会社千代田コンサルタント東京事業部社会システム部防災まちづくり室■はじめに平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という今までに経験したことのない大地震であり、津波により甚大な被害を受けた。東京湾岸部から利根川下流域の広範囲にわたる埋立地や旧河道・旧池沼等では液状化が発生し、道路や上下水道などのライフライン、家屋が甚大な被害を受けた。茨城県鹿嶋市平井東部地区では砂利採取により最大15mまで掘削された箇所が点在していた。この採掘跡地を砂が主体である鹿島港の浚渫土で埋め戻し、後に宅地化した。ここでも東日本大震災による液状化被害が発生している。今後同じような地震が発生した場合、この採掘跡地が再液状化による被害が発生することが懸念されている。本稿では、この再液状化の検証と対策について行ったプロジェクトを紹介する。■鹿嶋市の地形概要鹿嶋市は茨城県の南に位置し、東側は太平洋、西側は鰐川に面している。東側の低地は砂丘砂が堆積した地盤が広がり、西側の内陸に向かって台地となっている。西側の鰐川沿いは低地であり、谷底平野・氾濫平野が広がっている。台地から低地に向かって緩やかな傾斜地となっており、そこに宅地が広がっている。図2に青枠で示した砂丘地盤や谷底低地を盛土した人工地盤において、液状化被害が集中している。平井東部地区は海沿いにある平井海岸地区の西側に位置し、地図1鹿嶋市の位置図写真1平井東部地区の液状化被害区の西側は台地に向かって高くなっているが、南北方向にはほとんど高低差がない。■平井東部地区の地盤と被害図3に明治18年と平成21年(東日本大震災前)の地形図を示す。明治18年には東側の海沿いに民家が建ち並んでいるが、西側の台地(平井東部地区)には民家はなく、平成21年には区画整理事業で宅地化されている。この平井東部地区は、洪積砂丘砂質土層と洪積砂礫層からなり、砂利砕石を採掘した跡地は、N値(地盤の強度を表す数値。大きいほど固い)が概ね10以下の緩い砂質土で埋め戻されている。地下水位はGL(地盤面)-0.2~3.2mであるが、概ねGL-1.5mに位置しており、東日本大震災により緩い砂地盤が液状化し、噴砂や家屋への被害が多く見られた(写真1)。図4の掘削跡地を示すピンク色の範囲と、Google Earthより判読した図5にオレンジの点で示した噴砂箇所を比較すると、噴砂箇所は地区内に広く点在しているが、概ね採掘跡地と同じ位置となっている。震災前後の地盤高について、航空測量によるDEM(数値標高モデル)デ040Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015