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地球温暖化→緩和策(CO2排出量の各種削減策)外力不確実・不確定な乖離領域適応策(施設の整備・質的強化既存施設の徹底活用予測・リスク評価・監視体制の高度化長寿命化対策(インフラの老朽化・リスク管理・危機管理など)対応力メンテナンス対策)過去現在将来図3地球温暖化に伴う緩和策と適応策の関係村田:想定外とか想定内とか言っているところが、シナリオの中にもありますし、シナリオに無くても、それに応じた別の要素が関係して来ます。池淵:シナリオに無くても、将来起こるかもしれない確率は皆無ではありません。そういう意味で、計画論の外に最大規模クラスや最悪シナリオを想定して備えることも必要です。図3は九州大学の小松利光名誉教授の図を参考に加筆したものです。対応策として適応策や緩和策があり、それらを両立させる必要があるといわれています。低炭素社会をつくること一つとっても難しい。不確実性の中ではどこまで出来るのかも難しい。不確実性への対応は知見や科学的根拠が高まっていく中で、施策の選択は弾力的に検討する姿勢にならざるを得ません。ただ、明らかにゆっくりと来るもの、例えば海面水位の上昇は、かなり明確にリスクを出すことができるので、対応を考えることもできます。村田:普通の人からすると、温暖化現象が大きくなった時の被害があまりよく分りませんので、分り易く示す必要があります。気候変動による影響は国内均一ではないため、地域ごとにそのリスクが異なります。加えて、現状の安全度のレベルや想定される被害レベルも地域により異なります。これからの50~100年の超長期を視野に入れた新たな防災計画、防災に携わる技術者、建設コンサルタントとしての取組みに期待することなどを聞かせて下さい。池淵:今できることはリスク評価です。現状でのリスクはどうなのか。どういう施策に対してはどういう指標でリスクを評価し、どう実行するのか、温暖化の計算出力を活かして予防先行するのがリスク評価です。そのリスク評価に基づき、たとえば適応策の一つである施設整備であれば、どこに、どのような施設を設けると、どのようなリスク軽減が図られるか、といったことを検討することになります。巨大な外力に施設整備だけで対応できるいきちはずはありませんが、その閾値をどこに置くかも課題です。今まで、計画規模を越えたものは、ハザードマップやソフト対策で対応していましたが、地球温暖化に対してはさらに閾値が上がる可能性があり、施設計画外力をどのように定めるのがいいのか、これもテーマですので、適応策の具体案の見きわめも難しいですね。別次元のハードとソフトを考える必要があるのか、どういうシナリオに基づいた構造で人の命を守る手当をするのか、そうしたことを強く考えなければならない時代になって来ています。リスク評価技術の必要性村田:これまでのお話を伺うと、今まで分かって来たことに加え、さらにもう一歩進めて現象を理解しなければならないことや、それらをきちんと観測できる体制を構築しなければならないようです。また、今までの延長上の計画論ではないので、考え方そのものを変える必要があるようにも思います。池淵:そういう方向で、そう持って行かざるを得ませんね。村田:これから人口が減少して高齢化社会になった時、場合によっては、ある地域をしっかり守るためにコンパクト化した上で、そこの守り方にどの様なシナリオを当004Civil Engineering Consultant VOL.267 April 2015