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げて走る)ことが出来る訳です(図1)。交通渋滞の発生原因は「交通の集中」「突発事象の発生」「工事」の三つが主たるものですが、これ以外にも「自然現象」「催し物」などによって生じる渋滞もあります。交通集中渋滞は、道路および交通の条件に依存して発生します。私達が、日常的に耳にしたり眼にしたりする多くがこの渋滞です。この渋滞は、交通需要を知ることが出来れば、発生を予知することが可能です。突発渋滞は、交通事故や車両故障など予期しない事象の出現によって道路上にボトルネック(車線の減少や閉塞)が形成された結果生じます。その外に、道路工事によって一時的にボトルネックが形成され、その結果発生ずるいわゆる工事渋滞があります。事故や故障車などに起因する渋滞は予知が出来ません。これを原因とする突発渋滞は、道路利用者に責任があったとしても、道路管理者としては原因となった事故や故障車を出来るだけ速やかに除去することで、渋滞の延伸を抑えなければならない訳です。一方、工事に起因する渋滞の影響を出来るだけ小さくするためには、道路管理者として工事の情報を事前に利用者に周知するともに、交通需要の出来るだけ少ない時間帯を選ぶ工夫が必要になります。渋滞発生のきっかけと伝播の機構ボトルネックのうち、特に道路の構造要素であるサグ、上り勾配、曲線区間や長いトンネルの入り口で起こる渋滞については共通した特徴があります。それは、先頭を走る車の「速度低下」と、その車の後を走る車が接近し過ぎることによる制動行為がキッカケとなることです。先頭車の速度低下と言いましても、多くの場合は運転者が意図的にブレーキペダルを踏むような制動ではありません。サグの場合には、運転者が上り勾配区間に入ったことを認知出来ず、アクセルを踏み込まないことによって徐々に速度が低下します。トンネルやカーブへの進入時なども同様に、運転者が無意識にアクセルを弛めるために速度低下が生じます(図2)。これらの速度低下の原因は、運転者(人間)の心理や生理によって引き起こされることが分かっています。安全に対する運転者の感覚、具体的には安全だと考える速度や車間距離が運転者によって異なるためです。ある人が安全だと思う速度や車間距離であっても、他の人は危ないと思うこともあります。また、トンネルの様な閉塞空間に入るのを何とも思わない人がいる一方で、閉塞空間に入ることを恐いと思う人もいるでしょう。この様に様々な心理的特徴を持った運転者で構成される交通流がトンネルの様な閉塞空間に入ると、明るい所と同じように速度を維持しようと思う人がいる半面、怖さのあま図1「ボトルネック」のイメージ上りに気づかず速度低下前の車に連動して速度低下さらに連動し数珠つなぎになり渋滞図2「サグ」による渋滞イメージCivil Engineering Consultant VOL.268 July 2015009