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図4疎密波の上流への伝播例(首都高速道路3号線上り)で5,400台/2車線捌くことが出来ます。よって需要の超過割合は以下となります。s d? 700 ?10013(%)5400?結局、朝の7時に発生して最長7kmまで延伸した渋滞は、結果的にはボトルネック交通容量の約13%の超過需要で引き起こされたことが分かります。次に、信号交差点を先頭にして発生する渋滞を考えてみましょう。通常信号交差点の直進車線1車線の交通容量は、スプリット(当該信号機での緑時間の割合)を50%としますと、良好な道路・交通条件のもとでは900台/時・車線と考えてよいでしょう。すなわち、赤時間も含めて考えると、平均で4秒に1台の割で交差点を通過していることになります。今、7時以前には渋滞がないこの交差点に、交通容量を10%上回る需要(990台/時・車線)が到着するとします。当然のことながら、1時間に90台/車線の車両が停止線の上流に滞留し始めます。この状態が朝の7~9時の2時間続くとすると、9時の時点では180台/車線の車が停止線の上流に滞留していることになります。9時の時点で渋滞の最後尾に到着した車両の交差点通過時間は、ごく単純に考えますと以下となることが分かります。d ?180 ? 4 ? 720 (秒) ?12 (分)今、信号サイクル長を60~90秒と考えますと、この車がこの交差点を通過するために8~12サイクル待たなければならないのです。こんな(大)渋滞ですら超過需要10%の交通によって引き起こされているのです。超過需要の影響がいかに大きいかが分かると思います。実際の信号交差点の交通容量は路側の駐車車両や横断歩行者の存在、さらにはバス停留所の位置など、容量に影響する様々な要因によって、直進車線であっても交通容量は900台/時・車線よりも小さくなります(現実には700台/時・車線くらい)ので、もっと少ない超過需要で同じような規模の渋滞が引き起こされている、と考えてよいでしょう。このように、都市の道路や街路上で日々繰り返されている交通渋滞は、多くても10数%の超過需要が原因で発生することが分かります。ですから、超過需要を如何にして抑制するか、同時に如何にしてボトルネックの交通容量を増大させるかが、道路管理や交通管理に携わる交通技術者にとって大切な仕事になってくる訳です。<図・写真提供>図1、2、写真1株式会社片平エンジニアリング図3国土交通省オートパイロットシステムに関する検討会配布資料図4『交通工学ハンドブック2014』一般社団法人交通工学研究会Civil Engineering Consultant VOL.268 July 2015011