ブックタイトルConsultant268号

ページ
18/66

このページは Consultant268号 の電子ブックに掲載されている18ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant268号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant268号

特集3携渋滞を知る帯カーナビの進化とプローブデータ分析太田恒平OTA Kohei株式会社ナビタイムジャパン交通コンサルティング事業/チーフエンジニア渋滞状況は、右左折方向や時間帯、季節、道路整備、工事等の影響により大きく変動する。しかし、携帯カーナビにより取得されるプローブデータにより、渋滞状況の正確な把握が可能となってきた。これらのデータを用いた渋滞情報案内と、詳細な渋滞分析例を紹介する。プローブデータの活用ドライバーにとってカーナビは、渋滞情報を見るための最も身近な存在であろう。近年、ICT技術の進化に伴い普及が進んでいるのが、スマートフォン等で動作する携帯カーナビである。携帯カーナビのGPSと通信機能により取得されるプローブデータ(移動軌跡情報)の活用は、ドライバーへの案内だけでなく交通分析にも広がっている。ここでは携帯カーナビ「カーナビタイム」(図1)「ドライブサポーター」における渋滞情報案内と、プローブデータを用いた渋滞分析について紹介する。多様な渋滞情報源携帯カーナビの魅力の一つは、通信とサーバの計算資源を活かした高精度な渋滞情報案内である。当社の携帯カーナビでは、VICSから得られる渋滞情報とプローブデータを併用し、全国の渋滞情報を1年先まで提供している(表1)。多様な案内渋滞情報の案内方法は、図2のように多岐にわたる。経路探索における到着予想時間は90%が±5分以内という高精度を実現している(所要時間30分以内のルートの検証結果)。所要時間グラフにより渋滞の少ない出発時刻を選び、渋滞回避ルートを選択し、さらにはリアルタイム渋滞情報に基づくリルートをしながら、遅れること無く目的地に到着する。これが携帯カーナビの使い方である。渋滞回避への飽くなき挑戦渋滞情報があるとはいえ、最適な回避ルートは簡単には見つからない。渋滞回避の課題と工夫を以下に示す。・情報の無い渋滞に突入しないようにする前述のようにプローブデータを併用してもなお、渋滞情報が未配信の道路は残る。渋滞情報の無い道路に迂回したら余計に渋滞していた、という事態が起こり難いような工夫を経路探索エンジンに施している。・情報の無い渋滞に突入しないVICS情報については、交通量センサを基にしていることによる大きな速度推定誤差、実勢速度との乖離、図1表1渋滞情報源の特長特長プローブデータによる細やかな情報提供リアルタイム情報と予測情報の併用全国の渋滞情報による携帯カーナビ「カーナビタイム」広域ルート案内概要VICSでは渋滞情報が配信されない道路にプローブデータを適用することで、渋滞情報カバー率を59%から92%と大幅に向上させている(走行距離ベース)。VICSとプローブの過去データに基づく渋滞予測を1年先まで生成し、リアルタイム情報と併用して案内している。通信とサーバ上の処理を組み合わせることで、従来のVICSビーコンでは難しい、全国の渋滞情報を参照した広域な渋滞回避ルート等の案内を可能としている。016Civil Engineering Consultant VOL.268 July 2015