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るバスやパラトランジットと呼ばれるミニバン等の小型の車両を活用した、バスとタクシーの中間的なサービスの車両が非常に多くあります。ほとんどが個人営業のため、少しでもお客を多く乗せるべく、道路上で停止して営業合戦をしており、これが渋滞要因になっています。インドやバングラディシュ等の南アジアでは、人力車(リクショー等)もまだまだ健在です。ダッカのリクショーは非常に多く、交通ルールをあまり守らないことから渋滞の要因になっています(写真1)。また、インドの地方都市では、宗教上の理由で牛が道路上を自由に歩き休憩しており、渋滞要因になっています2)。アフリカ等では、牛車等の走行速度が遅い車両もまだ多くあります。2交通ルールの無視と運転マナー交通ルールが守られていないことが渋滞の要因になっていることがあります。違法な路上駐車に対して十分な取り締まりが行われていないために、1車線だけでなく2車線とも通行できない場合があります。また、多くの開発途上国では安全上の配慮から子供を車で送迎することが多く、通学時間帯には学校の前が送迎の車で大渋滞となります。さらに、信号や停止線の無視が顕著なダッカ等では、交差点の各方向からの車がそれぞれに進もうとして完全に停止(デッドロック)してしまうことがあります。渋滞が深刻となると、反対車線を逆走したり、オートバイが歩道や中央分離帯を走行するような状況も見られます。3緊急?!事態非常時や特殊な事情による渋滞については、途上国では以下のような特殊要因が日常的に発生し、渋滞を引き起こしています。・要人の通行:大統領等の政府要人が通行するために、最も渋滞が激しい通りのピーク時を通行止めされることもあります。国にもよりますが、通行止めが大臣・知事をはじめ多くの車両に認められています。・路上でのエンスト:一般車両も中古車が多く、頻繁にエンストします。また、前述のバスやパラトランジットは個人営業のため、初期投資とメンテナンス費用を最小限に抑えており、これらの車両は当然頻繁にエンストし渋滞要因となります。さらに、十分な量のガソリン代を払うだけの現金を持っていない運転手も多く、路上でガソリンがなくなることもしばしばです。・停電時の交差点での大渋滞:多くの開発途上国では発電量や配電設備が経済発展に追いついておらず、都市によっては毎日のように頻繁に停電します。せっかく信号機を設置しても停電により大混乱になります。・雨季の冠水:交通や電力インフラのみならず、河川管理のためのインフラも整っておらず、雨季になると頻繁に冠水し、渋滞の要因となっている都市が多くあります。4中途半端な渋滞対策交通を専門とする側からみると、一部の開発途上国では、即席の渋滞対策がむしろ渋滞を悪化させているのではと思う事象が多くあります。・一方通行の多さ:一方通行は適切に導入すれば交通の流れがよくなりますが、迂回やUターン交通が新たに発生することが問題点です。都市によっては多用し過ぎることにより、迂回が多くなり、結果的に全体の所要時間が長くなっています。・大規模なロータリー:歴史上の都市の区画割もあり、大規模なロータリーが交差点に設置されている都市が多くあります。ロータリーはある一定の交通量までは信号交差点よりも効率的とされていますが、交通量が多い交差点には不向きです。信号を設置する予算写真3コロンボ(スリランカ)の交通渋滞写真4バンコク(タイ)。オートバイが自動車の隙間を埋めるように停車Civil Engineering Consultant VOL.268 July 2015021