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(a)(b)(b)(a)(200m・傾斜9%)(160m・傾斜2%)図2 図1の各画像の撮影位置と道路傾斜の関係(道路の断面図)。(a)は坂の下から撮影した画像で、(b)は坂の上から撮影した画像。それぞれの画像内の色は断面図の傾斜に対応する図1(a)では、近坂(手前の道路)は下っているように見えるが、実際は上り坂である。一方、図1(b)では、遠坂(奥の道路)は上っているように見えるが、実際は下り坂である。つまり、図1(a)の場合は、道路面は画像の上部に行くほど標高が高い道路構造であり、図1(b)の場合は、道路面は画像の上部へ行くほど標高が低い道路構造になっているにもかかわらず、多くの人にはそのようには見えない。この不思議な現象は目の錯覚によるものであり、「縦断勾配錯視」と呼ばれている。これは傾斜の異なる複数の道路が連なっているときに生じ、日本に限らず、カナダや韓国など海外の道路でも実際に多く観察されている。屋島ドライブウェイの場合、縦断勾配錯視が生じる箇所の道路構造は、長さ約160m・傾斜2%の坂道と、長さ約200m・傾斜9%の坂道からなる凹型の縦断線形で構成されている3)(図2)。縦断勾配錯視の要因はいくつか指摘されているが、その一つは、「近坂と遠坂との対比による要因」と言われており4)、これは傾斜判断の手がかりとなる正しい水平線が道路上に乏しいことが挙げられる。実際、水平線の手がかりが無い状況としては、図3に示すように、トンネル内部が特に顕著である。トンネル内部では、その建築構造から、道路に平行に入っている線が、実際の図3トンネル内部。壁面のラインを水平線であるかのように認識してしまい、道路面も水平だと錯覚してしまう。実際は上り坂である(阪和自動車道)水平線とは異なるにもかかわらず、あたかも水平線であるかのように見えてしまい、道路面が水平であると錯覚してしまうのである。その結果として、適切な走行速度を保つことが難しくなり、速度低下につながってしまうと考えられる。目の錯覚という現象は、思い込みや勘違いとは異なり、理性で正解がわかっていても、同様の錯覚現象が再び生じる、という特徴がある。つまり、実際の傾斜を知っていても、目の錯覚が再び生じてしまい、傾斜の認識を誤ってしまうのである。そのため、高速道路の設計Civil Engineering Consultant VOL.268 July 2015025