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図4ストライプパターンの例と傾斜認識の変化。左図では被験者の8割が遠坂を平面と回答。右図では被験者の9割が遠坂を上りと回答においては、このような道路構造をなるべく避けて設計することが重要となる。縦断勾配錯視を軽減する方法一方で、既存の道路で生じる縦断勾配錯視を取り除くためには、どのようにすればよいのであろうか。縦断勾配錯視に影響する一つの要因として、側壁パターンの傾きが報告されている5)。そこで著者らは、縦断勾配錯視を取り除き、正しく道路傾斜を認識させる方法として壁面のストライプパターンに着目したアイデアを検討している。仮想的ではあるが、図4に示すような二種類の道路環境を考える。道路面は、サグ部に対応する凹型の道路構造を考え、遠坂に二種類の側壁パターンを導入する。これらの画像を一枚ずつ被験者(延べ162名)に提示することで、道路の傾斜認識がどのように変化しているかを検証した。実験の測定は5項目の間隔尺度(急な下り、下り、平ら、上り、急な上りの選択)を用いて行った。その回答結果から、道路の傾斜認識において、ストライプ線を水平面と認識する傾向が強く見られた。さらに、近坂の傾斜は、遠坂の傾斜に対する相対的な判断の結果として得られることも確認された。つまり、ストライプ線によって、水平面の認識が変化し、結果として道路傾斜の認識も変化しうるということが明らかとなった。道路傾斜の認識変化をもたらすストライプ線を用いた方法は、壁面へのペイント等で実現できるため、サグ部のみならず、傾斜誤認が生じる図3のようなトンネル内部でも容易に施工でき、渋滞予防の方策の一つとなりうると思う。現在、静止画では道路傾斜の認識の変化に効果があることが示されたが、ドライビングシミュレーターを利用した高速走行時の動環境では、顕図5 首都高速道路に使われているオプティカルドットシステム(提供:韓亜由美氏(ステュディオハンデザイン代表取締役/公立前橋工科大学教授))著な検証結果はまだ得られておらず、今後の検討課題である。渋滞を軽減するための“心理的”対策サグ部の上り坂では、気づかないうちに速度が下がってしまい、それがきっかけとなって交通集中の渋滞が生まれていることから、各道路では色々な対策が施されている。ここでは、その中の心理的な方策についていくつか紹介したい。・オプティカルドットシステム*1図5に示すシークエンスデザインRオプティカルドットシステム(Optical Dot System:ODS)は、首都高速道路埼玉大宮線の美女木JCT付近で施工されている。ODSによる視覚的情報提供には次の二つの側面がある。一つ目は、ドット列の配置感覚を縮小したり拡大したりすること(パースペクティブの配置)で、錯覚を起こさないよう実際の正しい勾配を可視化し、ドライバーが線形を自然に認知しやすいようガイドすることで、「勾配を知覚026Civil Engineering Consultant VOL.268 July 2015