ブックタイトルConsultant268号

概要

Consultant268号

巻頭言Consultants建設コンサルタントの魅力と担い手の確保長谷川伸一一般社団法人建設コンサルタンツ協会会長この度、建設コンサルタンツ協会の第13代会長に就任致しました長谷川伸一です。副会長を4年務めた後の会長就任ですが、建設コンサルタントの活動環境の変化に応じて直面する新たな課題解決、及び協会、建設コンサルタントの発展に全力で取り組む決意ですので、各位のご支援をお願い申しあげます。協会の事業計画の推進平成27年度の事業計画に掲げる「魅力ある建設コンサルタントに向けた環境整備と活動基盤の充実」「品質確保」「技術力向上と選定」の他、「広報活動強化と社会貢献活動」「社会資本整備のあり方への提言」「倫理の保持」「支部を含む組織の充実と活動強化等の推進」に全力で取り組みます。建設コンサルタントの経営環境と役割我々の経営環境は国土強靭化とインフラメンテナンス、また「改正品確法」の運用と設計業務単価の2年連続アップ、更に東京オリンピック等を追い風とし、処遇、職場環境の改善、長時間労働解消への取り組みも進み、会員企業の経営状況は改善の方向に向かっています。特に「改正品確法」に盛り込まれた「将来の担い手確保」は、協会の最重要課題でもあり、会員企業が経営の安定によって将来展望を描けることで「魅力ある業界」が実現できると考えています。今後、我々の役割が重要となる中で、建設コンサルタントが本来の役割とガバナンスを発揮して、自らもこの国のために何をすべきかが問われています。魅力ある担い手確保への決意我々は安定した事業量の確保が将来の経営を支え、事業量が安定しない状況で人を雇用すれば経営が成り立たないという不安を持ち続けてきました。しかし、我が国の人材、特に若者の減少は深刻で、現状は60歳以上の高齢者が担い手不足を補っているものの、10年後にはその高齢者もリタイアする状況になります。事業量の不安定さが経営不安の大きな要因でもありますが、それよりも速いスピードで担い手が減少している現実を今、真剣に見据えなければなりません。ある講演会で「現在の若者が社会の中に居場所を見出す状況を創り、企業として若者の人生を引き受ける覚悟をする。また、若者がやり甲斐を見出し、成長するまで手助けをする決意が、企業経営に必要だ」と聞き、協会会長及びコンサルタント経営者として改めて責任の大きさを感じました。一方で建設コンサルタントとして、自らも国土創生に向けて夢と希望のあるプロジェクトを提案していくことも、若者が望んでいる「魅力ある業界」と言うテーマの解決に繋がっていくと考えています。更なる建設コンサルタントの発展に向けて建設コンサルタントの経営環境は「改正品確法」が適切に運用されることで、大きく展望が開けていくと考えています。一方で、建設コンサルタントとして社会的な発言力を高めていくために、より高い技術、知的集団として結束を高め、2020年以後の経営に備えていくことも重要ではないでしょうか。経営、処遇、職場環境の改善や長時間労働の解消、女性の活用や地域の課題解決に向けても、これまで以上に取り組んでいく必要があります。それに加えて、自ら国づくり、社会のために貢献する技術・知的集団として提案力や発言力を高め、社会的立場や地位向上を図っていく上で「改正品確法」の主旨に呼応した法的立場についても、検討を進める必要があると考えています。建設コンサルタントの成果・品質は、社会資本のコストと機能を左右することから、良好な社会資本が安心・安全、日常生活の基盤であるという事を国民の理解とする活動・広報も協会全体で進め、担い手や自らにとっても「より魅力ある建設コンサルタント業界」を実現していきたいと考えています。