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写真7モンゴルのゴルフ場心事だと思うが、驚くことに首都近郊に4カ所ある。長い冬の雪解け後の芝の養生がある為、人工グリーンと芝の養生を待って短期間オープンするゴルフ場とがある。プレイフィーは8,000~10,000円で、この国の入社3年目くらいの学卒月給が45,000円位だから、他の国の相場からすると、高いかもしれない。よく行くゴルフ場は国立公園内にあり、「スイスのような景色の中、スコットランドのリンクスでプレイする」といった雰囲気が味わえる。一転、冬場は酷寒で一面雪に覆われ、春先まで雪は解けない。雪の結晶は大きくサラサラしていて、いつまでも輝いている。首都近郊は標高1,350mあり、周囲には2,000m級の山々が多いことから、登山は冬場のスポーツとして手ごろで人気がある。常夏の東南アジアに慣れ親しんだ身にとって、アイゼン等も取り揃えての数十年ぶりの冬登山であったが、頂上から眺めるモンゴルの大地はまた違った趣があった。また、極寒の地で零下40℃の世界を体験したかったが、残念ながら零下38℃だった。忘れられない体験チンギス・ハーン帝国モンゴルの地で一番印象に残ったのは、11日間をかけて鉄道計画路線を縦横断したことである。8台のランクルに総勢34名が乗り込み、ゴビ砂漠から草原を通り、北はロシア国境、南は中国国境にいたる旅であった。ゴビ砂漠の真只中、満天の星の下でのキャンプ、プロジェクトの成功と健康を祈る結団祝杯の美味、天然の家畜の糞の燃料、外敵に備えてランクルのライトを外方に向ける円陣配置、変わらない景色の地でのGPSの心強さ、そして何と言っても無限に広がるモンゴル大地へ、放射状に散りきじ行く団員の雉射ち(青空トイレ)の解放感と生の充実感は、忘れられない体験となった。そして、帰国の途に就く機内窓から見る大地には、ナスカの地上絵ならぬ、幾何学模様的モンゴルの地上絵が見える。あの地上絵の線の一部は、手つかずの大地に、我々が縦走したランクルの轍である。想像の翼を広げてみよう。境界のない果てしないチンギス・ハーンの大地で、遠い水平線の彼方から、6輌の機関車に牽引された200輌の貨車が長蛇のようにくねくねと、我々が設計した線形に鮮やかに乗って走ってくる様を。そして、その傍らには、もくもくと緑豊かな草を食む羊、山羊、牛、馬、珍しそうに首をもたげる駱駝、いっきに疾走するモンゴル・ガゼルの様を。そんな中、鷲が翼を広げて、透き通ったモンゴリアン・ブルーの大空を、悠久の昔から変わらなかったように飛んでいる。写真8モンゴル横断鉄道現地調査のキャンプ地での円陣配置写真9祭の風景Civil Engineering Consultant VOL.268 July 2015049