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などが代表的なものである。また、あちこちにコリント式で建てられた円柱群が、地震にも倒れず残っている。これらの建築物はローマ時代、裕福な市民の寄付により建設された。さらに、遺跡の道路には、雨水集水口、雨水管路、点検口(清掃用)などの排水システムや貯留槽があり、雨水の再利用の重要性や知恵を感じた。遺跡を歩いていると、壮大さにへとへとになりながらも、繁栄した光景や建設時の労苦に思いを馳せることができ、仕事についてしばし忘れることができた。アンマン城塞アンマンの市内にはアンマン城塞がある。城塞の丘ジャバル・エル・カラは古来、人の居住があり、軍事的・政治的に重要な場所だった。その建築物群はローマ帝国、ビザンチン帝国にまで遡る。丘の北端と東端から出土している遺物は、青銅器時代にまで遡る可能性もあるという。丘には、マルクス・アウレリウス・アントニヌス帝が命じて造らせたといわれるヘラクレス神殿がある。ローマ劇場アンマンは7つの丘で構成されているところがローマに似ており、古代ローマの兵士や役人に大変好まれた。ローマ時代のフォルム(公共広場)の裏には、観客数6,000人規模の円形劇場がある。このヨルダン最大のローマ劇場は丘の斜面を利用して、アントニヌス・ピウス帝によって138~161年に建設されたと言われている。今もスポーツイベントなどに利用されている。写真7ジャラシュ遺跡の南門水が繋ぐヨルダンと日本ヨルダンを含めた中東の国々は日本との関わりが深く、かつ親日家が多いことから、一部を除き親しみ易い地域である。また、砂漠地帯で水や緑が少ない環境にあり、水に関するビジネスがまだまだ多く潜在している。現にアンマン市の水道は、数百km離れた地域に井戸を掘り、圧送供給をしている。しかし、これらも概ね10数年の暫定施設であり、水不足は深刻な問題となっている。このようなことを考えれば、水道水源の確保に止めず、天の恵みである雨水利用を含め、貴重な水を有効に利活用する日本の優れた技術を提供することが、地域貢献に繋がるものと考える。<参考資料>ウィキペディア写真8ジャラシュ遺跡のローマ劇場Civil Engineering Consultant VOL.268 July 2015053