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で1 5 4 k mの渋滞」とあるが、実際には、2 6日時点で京都南?音羽蒲郡の200km以上が通行不能となり、立ち往生の解消には3日を要した。平成2 0年代になってやっと新名神、新東名(基本6車線)が開通し、国土軸はダブルネットワーク化された。高速道路はかつての縦貫道から、全国津々浦々まで行き渡るネットワークへと変容し、高速道路、一般道ともに渋滞は減少しつつある。しかし、もっと大所高所から見れば、日本の物流はトラックに偏り過ぎている。トラック物流というのは、多くのドライバーの労働力を必要とし、エネルギー効率も悪い。大型トラック1日1台当りドラム缶約1本の軽油が必要だ。旅客輸送に例えれば、新幹線や在来線を使わず、高速バスの大量投入でやり繰りしているようなものである。国策として貨物鉄道の利用比率を高めるモーダルシフトを進めるべきであろう。だが、旅客ダイヤの合間を縫っている現状では増便が難しい。貨物専用線の新設といった思い切った発想も必要だ。東日本大震災平成2 3年に東日本大震災が発生し、東北地方への物流がストップした。阪神淡路大震災の時とは違い、高速道路は突貫工事により、地震の翌日には何とか通行可能になった。しかし、交通量は通常の1/1 0に激減し、東北中が物資不足に陥った。高速道路が緊急交通路に指定されたため、トラック事業者は様子見状態になり、省庁間でも情報が錯綜していた。自衛隊、ボランティア団体、個人などが細々と物資を運んだ。生活必需品は通常に近い形で運ばねばならなかったのだ。私が救援物資を何度か運んだ際には、助手席に積めるだけの食糧を買って持って行った。どこで不足しているか分からなかったからだ。大災害時には道路の復旧だけでなく、国は物流量の監視を行うべきだ。残念ながら、我々はまだ非常時に渋滞を起こさないという行動規範を確立できていない。電車が止まると、一斉に車を出してしまうといった,パニック的行動を取ってしまう。休日渋滞に関しても、休日を分散して取るなどの社会的変革が必要だろう。渋滞の削減は、これまで道路のハード面を中心に力が注がれてきた。しかしこれからは、人々の行動の研究や、ビッグデータの活用、自動車の運転制御など、ソフト面からのアプローチも併せて行うべきであろう。平成7年12月のクリスマス寒波による史上最大約200kmの渋滞。物流をになう大型トラックが目立つ。名神高速上り線から見た、現在の一宮ジャンクション3 6 0キロポスト付近(12月26日13時46分筆者撮影)Civil Engineering Consultant VOL.268 July 2015007