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ラジルでは昔から食事の時には、炭酸水を飲む習慣があり、レストランに行くとAGUA COM GAZ, AGUA SEMGAZなどをよくオーダーします。私が日本とブラジルの違いで次に思うことは、「コミュニケーション」だと思います。ブラジルは、色々な国から人が移り住んで来ている為、仲良くなる方法として、先ずは相手のスタイルに合わせようとする事から始めてみます。その為、頻繁にコミュニケーションを取らなければならない現実があります。例えば、バス停に並んでいる時にも誰とでも話をし、コミュニケーションを取ろうと試みます。それが彼らの文化なのです。ブラジルには、お互いの名前を知らなくてもざっくばらんに意見を言い、心が和む場所があります。その一つが、どこの地域にもあるバールです。そこは近所の友達との憩いの場で、テレビでサッカーを観戦したり、大人はお酒を飲んだりトランプをしたり、子供達はお菓子を買いにやって来て、友達と遊んだり皆思い思いに楽しむのです。また、週末にはサンバが始まったりもしたものでした。貧富の差が激しい国ですが、そこではそんなことは全く関係なく、誰とでも普通に同じ空間を一緒に楽しみます。ペンキ屋さんの息子が熱を出したと言えば、そこで知り合ったお医者さんが往診に行ったりするわけです。自分たちの地域社会をすごく大切にしています。基本的には人と人との繋がりが重要で、それが希薄になるとバランスが崩れてしまうと考えているからです。日本にも近所にバールができたら素敵でしょうね。最近あった楽しかったこと、抱えている悩み事等の話をすることで、地域の人同士で笑い、助け合いが出来たりするかもしれません。わざわざ銀座や渋谷に飲みに行かなくても地元でリラックスでき、家族と一緒にいる時間も持てます。ブラジルでは、週末に誰かの家で肉のシュラスコパーティーが必ずあります。会社の友人を連れて行ったりすれば、家族ぐるみのお付き合いも出来ますね。バリアをつくり過ぎると素顔が見えなくなります。それはそれで精神的には楽なのでしょうが、それでは寂しいと思います。近所や地域の人たちが集まって、お互いに顔を合わせて話し、そして食べる。そんな空間が必要ではないでしょうか。日本にも地域のお祭りがありますが、その時だけで終わってしまうのが残念です。家の近くで毎日立ち寄りたくなるような場所があると良いと思います。ブラジルの家庭には毎日自宅に訪ねて来る人達もいて、自分が帰宅する前に既に家族と盛り上がっていたりしていました。そして、母が作ってくれた食事を、共に囲むのです。日本も昔はそうだったと聞いていますが、今、そういったコミュニケーションが求められているのかもしれません。リオのバール(写真:塚本敏行)小野リサONO Risaプロフィールブラジル・サンパウロ生まれ。10歳までの幼少時代をブラジルで過ごし、15歳からギターを弾きながら歌い始める。1989年デビュー。ナチュラルな歌声、リズミカルなギター、チャーミングな笑顔で瞬く間にボサノヴァを日本中に広める。ボサノヴァの神様アントニオ・カルロス・ジョビンやジャズ・サンバの巨匠ジョアン・ドナート等の著名なアーティストとの共演、ニューヨークやブラジル、アジアなどで海外公演を行い、成功を収める。20万枚を超えるヒット作を含むCDは日本ゴールドディスク大賞(ジャズ部門)を4度受賞。2013年にはブラジル政府よりリオ・ブランコ国家勲章を授与される等、ボサノヴァの第一人者としてその地位を不動のものとしている。Civil Engineering Consultant VOL.270 January 2016009