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写真7キューバ、ハバナ港口のモロ要塞。港口を隔てたハバナ市から全景を望む写真8キューバ、ハバナ港口のモロ要塞。稜堡と望楼写真9コロンビア、カルタヘナ、旧市街を取り囲む城壁(内側)写真10コロンビア、カルタヘナ、旧市街を取り巻く城壁(外側)植民地時代を代表するもう一つの土木事業は、港を守る要塞であった。スペインとポルトガルの航海技術上の優位は長続きせず、オランダ・イギリス・フランスがたちまち急追してきた。オランダ西インド会社を先鋒とするこれらの国の艦隊から港を守るために、スペインはイタリア式築城術に基づく巨大な要塞を建造した。中世の城壁がほんとうに壁一枚であるのに対し、大砲が発達したルネサンス以降の城壁は厚さ数mもの土砂を突き固め、内外を石垣で掩ったものである。キューバのハバナやドミニカのサントドミンゴ、プエルトリコのサンフアンなど、カリブ海シーレーン上の島嶼の港にも大きな要塞があるが、やはり圧巻はコロンビアのカルタヘナである。旧市街全体が分厚い城壁で囲まれていて、陸側から旧市街へのアプローチにはサンフェリペ・デ・バラハス要塞が聳え立つ。その無数の稜堡の、秘術を尽くした複雑怪奇な組み合わせは偉容というしかない。独立後の時代1820年代にラテンアメリカ諸国はそれぞれに独立をとげたが、半世紀ほどは政情不安と経済停滞のため大きな土木事業は興せなかった。しかし19世紀後半になるとようやく政情も安定、経済も好転した。ラテンアメリカには豊富な鉱産物があり、また熱帯農産物の適地や、アルゼンチンのパンパのような温帯の広大な未開墾地Civil Engineering Consultant VOL.270 January 2016013