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年に更新された。写真7ウルカの丘駅周辺の展望エリアボンジーニョは最大20分間隔で運行が可能である。速度も調整可能で、麓からウルカの丘までは最大毎秒6m、ウルカの丘からポン・デ・アスーカルまでは最大毎秒10mであり、どちらも所要時間は3分である。様々な安全装置を備えているロープウェイは、営業開始前の毎朝点検を行い、異常がないか確認している。風速が秒速約18m以上の場合は運行中止となるが、過去に止めた回数は多くないようだ。ボンジーニョが途中で立ち往生した場合は、ロープで乗客を降ろすか、別のゴンドラが迎えに行くかの二つの方法がある。しかし、これまで1度も出番はない。100年もの長きにわたり運行し続けられているのは、世代が交代しても、安全に配慮し維持管理を怠りなく、システムや施設を更新して、常に新たな挑戦をし続けてきたことに他ならない。それは今後も続けられてゆく。「ここで働くことは楽しい」と言った若手エンジニアの言葉が印象的だ。■ライフライン旅行者が増加したことで、上下水道、電気システム、荷の輸送、観光客に対するサービスの改善などが行われている。ボンジーニョの両側には、荷物運搬専用のロープウェイが別に設置されている。また、同じケーブルを使った給水システムもあり、ケーブルにパイプを添架して麓から水を圧送している。下水道はこれまで、山肌に沿って下水管を這わせて麓に送っていたが、給水同様のパイプを施工中で2016年には完成予定である。さらに、細い電気用のケーブルも併設されており、これは2015写真8ポン・デ・アスーカル駅■動かざるごと山の如しウルカの丘周囲には車椅子で回れるスロープ道があり、展望エリアの段差解消には、車椅子用の斜め昇降機が設置された。ブラジル国有地でもあるこの地域への植林も行われている。2009年には資料館がオープンし、広場に展示されているかつてのボンジーニョ脇には二人のエンジニア、ラモスとカストロの像が立つ。また、ウルカの丘からレメ地区にあるバビロニアを結ぶ新路線を造るというような構想もあるようだ。ポン・デ・アスーカルの山頂には、隣街ニテロイ市の小学生たちが社会科見学に来ていた。観光シーズンともなると、チケット売り場は長蛇の列になるという。この100年で周辺環境は大きく変わって来た。しかし「動かざるごと山の如し」と言われるように、ボンジーニョはポン・デ・アスーカルとともにしっかりと大地に足を据えて、今後も人々を運び続けて行くことだろう。(文塚本敏行)<参考資料>1)「Bondinho公式ホームページ」(http://www.bondinho.com.br/)2)「ニッケイ新聞」(http://www.nikkeyshimbun.com.br/nikkey/html/show/121030-23brasil.html)(ブラジル国サンパウロ州サンパウロ市で発行されている、移住者や日系人・駐在員向けの日本語新聞)3)『Bondinho do Pao de Acucar Sugar Loaf cable car』Andrea JakobssonEstudio Editorial Ltda. & Companhia Caminho Aereo Pao de Acucar, 20084)『COMPANHIA CAMINHO AEREO PAO DE ACUCAR - 1908』CompanhiaCaminho Aereo Pao de Acucar, CCAPA(Sugar Loaf Aerial PathwayCompany)5)『COMPANHIA CAMINHO AEREO PAO DE ACUCAR - Reforma dasestacoes』Companhia Caminho Aereo Pao de Acucar, CCAPA(Sugar LoafAerial Pathway Company)<取材協力・資料提供>1)Companhia Caminho Aereo Pao de Acucar(CCAPA)2)Julia Mograbi & Fujiko Nishiyama(通訳)<図・写真提供>図1、写真2、3、4、5 CCAPAP32上、写真1、6、8、9塚本敏行写真7近藤安統写真9下水道パイプの添架工事Civil Engineering Consultant VOL.270 January 2016035