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ります。現在はパートナーとして位置づけられてきていますが、もともとこの業界は官が整備する公共のお手伝い的な役割から始まりました。そのため一般の方にその役割を「こういうものですよ」と紹介する機会がありませんでした。今後は、社会資本整備そのものの必要性や更新について説明を行ったりして、コンセンサスを得ていくことが大切であると考えています。上村:社会資本整備に市民が求めているものは、老朽化や悪化する自然への対策、エネルギー環境や情報化、スマート化への対応でしょう。また、自動車の自動運転をはじめ、新しい技術が多く出てきていますので、そういうものにも、社会資本のハードとして対応していくことも必要です。もしかしたら自動運転での高速道路は、もう一度ハードから考え直さなくてはならないかもしれませんね。長谷川:我々がこの職業に就いた50年前には、立体高速道路はほとんどありませんでした。自動運転等が進歩すれば、今のインフラ形態が変わっていきます。すぐ変わるのではなく技術の進歩を採り入れながら更新していき、50年先には大きく変わっている。我々は技術を通して進化するインフラを見通しながら、それらの技術を次世代に継承していく役割を担っています。市民の安心安全な暮らし、快適さを常に考える建設コンサルタントの縁の下の力持ち的な役割が、職業的な誇りとして認知されれば素晴らしいと思います。上村:そういうことが建設コンサルタントの役目だと、期待感を含めて認知されていくことには大賛成です。これからの建設コンサルタント長谷川:建設コンサルタントは土木技術だけではなく、金融、医療、福祉などの全てに関っています。特に今後は、財政が問題になると思います。上村さんは(株)民間資金等活用事業推進機構の社外取締役をされていますが、建設コンサルタントとしても、これからの国土を整備していくために民間の資金、仕組み、ノウハウや効率性を活用していく事業手法は不可欠だと思っています。民間の投資はお金が回収できる仕組みが重要だと思いますが、そういった中で建設コンサルタントが果たすべき役割はどのようなことだとお考えでしょうか。上村:(株)民間資金等活用事業推進機構は政府が50%、民間(日本)の政策投資銀行はじめメガバンク・地方銀行・損保・生保を合わせた株主50%で成り立っております。2013年10月に設立されました。2015年、大型案件となる関西・伊丹空港コンセッションが決まりました。これは成長戦略と財政規律の両方に資するものだと思っています。社会資本には事業性のあるものとないものとがあります。事業性のないものは公共の税金で行いますが、少しでも事業性があれば、公共とプライベートマネーとの割合を探っていくべきだと思います。日本の多額の借金の返済や基礎的財政収支の黒字化が求められる中、事業性のあるものは、できるだけPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)やPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)でできないかを、まず考えるべきだと思います。長谷川:少子高齢化や財政が逼迫すると、公的負担を減らさねばなりません。民間の活力を利用する仕組みを作ることもコンサルタントの大きな役割です。利用者負担があれば、基本的にはPPPの仕組みに乗ると思います。高速道路のように非常に公共性の高いものがPPPの仕組みの中で民間として成り立つかという問題や、被災した場合の事業リスクなどの法改正が必要なところが出てくると思います。上村:高速道路はすでに民営化されPPPを一部取り入れております。しかし、高速道路は償還主義と全国一律プール制で成り立っている仕組みなので、45年で償還した後どう維持管理していくかという議論が先にない限り、できない話ですね。長谷川:その時に「PPPの仕組みを作ったから、どうしてもこうしなければならない」となると競争性の意味がなくなってしまいます。事業手法として公正な競争性を踏まえて、法的な課題も整備した上で進めていけば、財政課題が大きい今後の有力な事業手段だと思います。資金活用の有効性が理解される、また経済が回ってくればPPPやPFIの仕組みがもっと活用されるのではないでしょうか。写真1アメリカのサンフランシスコ国際空港002Civil Engineering Consultant VOL.270 January 2016