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カーニバル見物に、その村に住む従姉セラフィナを訪ねて来たユーリディスは、自分を追い回す謎の男を避けてオルフェの運転する市電に乗る。オルフェとセラフィナは隣人同士であった。ギターが上手で子供たちから慕われるオルフェには婚約者ミラがいたが、ユーリディスに恋をしてしまい、二人で朝を迎える。カーニバルの本番では、ユーリディスがセラフィナの衣装を着てミラの目をごまかし、オルフェと共に踊る。しかし、そのことがミラにバレて争いが起きる。その場を逃げ出したユーリディス、今度は謎の男に追い込まれ、真っ暗な市電の車庫に逃げ込む。そして高圧線を掴んだその時、助けにかけつけたオルフェが電源のスイッチを入れたため、ユーリディスは感電死してしまう。オルフェはユーリディスの死を受け入れ難く、深夜の街を彷徨する。夜明け頃、死体安置所のユーリディスの遺体を抱いて、恋を語らった高台に来たオルフェ。そこで、嫉妬に狂ったミラの投げた石を頭に受け、ユーリディスと共に崖から落ちて死んでしまう。死によって結ばれる二人。そして、太陽が昇った丘で歌い踊る子供たちの姿。ギリシャ神話から続く悲恋をこれからも繰り返すような暗示で、映画は終わる。写真6(左)かつて路面電車の車庫だった旧路面電車博物館(オルフェとユーリディスが出会い、ユーリディスが感電死するシーン)写真7(右)パラダ停車場(ユーリデイスが乗るイメージ。現在、試運転の終着駅)■舞台の街「リオデジャネイロ」ブラジル南東部に位置するリオデジャネイロ州の州都であるリオデジャネイロは、1960年にブラジリアに遷都するまでは首都であった。今夏、第31回夏季オリンピックが開催される。写真8リオブランコ大通りのオベリスク(オルフェがユーリディスの遺体を抱き運ぶシーンで登場)17世紀に生まれたサンバは黒人の踊りが起源だ。打楽器だけのシンプルなリズムで踊っていたが、リオデジャネイロでポルトガルを始めとするヨーロッパ舞曲の影響を受け、今のような形に進化した。1940年から現在のようなカーニバルになりコンテストが実施されるようになった。また、カリオカとはリオデジャネイロ市生まれのブラジル人のことであり、先住民の「白人の家」を指す言葉から転じたものらしい。おおらかで冗談好き、人生の楽しみ方を人一倍知っているといわれる。サンバを生み、カーニバルを催し、ビーチ沿いのライフスタイルを作り上げた人々は、ブラジル人としてよりもカリオカであることを誇りに思っている。貧民街を指すファベーラはリオデジャネイロ各地の岩山に広がり、住民の多くは善良な市民である。先のサッカーワールドカップやオリンピックへ向けた警察の治安対策が成果を上げ、犯罪組織は姿を消しつつある。その結果、ファベーラの観光ツアーが始まったりもしているが、まだ安全な場所とは言えず、近づかない方が賢明だ。(文塚本敏行)<参考資料>1)『黒いオルフェ』DVD 2002年株式会社アイ・ヴィー・シー(http://www.ivc-tokyo.co.jp/)2)「allcinemaホームページ」(http://www.allcinema.net/)3)『るるぶ情報版ブラジル・アルゼンチン』2014年1月JTBパブリッシング4)「WERDE OFFICEホームページ」(http://www.werde.com/movie/cw/new/orfeunegro.html)5)「外務省ホームページ」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/brazil/)<写真提供>写真1、5、6、7、8塚本敏行写真2、3、4、9近藤安統写真9バビロニアの岩盤が露出する急崖(二人が転落するシーン)Civil Engineering Consultant VOL.270 January 2016039