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なコタバト市内に設営しました。クライアントの安全対策指示に従い、警備員を雇用し、移動や業務実施に同行させるなどの安全対策を行ないました。さらに業務実施中の行動範囲は、事務所とホテルとし、テロ事件が多いショッピングモール・繁華街等への立ち寄りは行わないという対策も講じました。Q4.本プロジェクトは、行政機関を対象とした組織強化ですが、特に心がけたことについて教えて下さい。A4.行政組織へのキャパシティ・ビルデングは、カウンターパートのGISデータベース活用能力を強化するために実施されました。フィリピンの行政制度では、職位が決まっており、職場に配置される人材は、その職位に要求される技術レベルに達していることが前提となっています。しかし、現場では、EXCELデータを作成中に電卓で計算したデータをPCに入力している技術職員が多く見られました。これが現状であることをよく認識した上で、キャパシティ・ビルデングを開始しました。まず、カウンターパート(GISトレーニング参加者:IT技術者27名)に対し、キャパシティ・ニーズ・アセスメントを実施しました。この結果からGISトレーニング計画とトレーニング・マニュアルを作成し、各々のスキルに応じたトレーニングを実施しました。また、トレーニングはフリーソフトであるQ-GISとそのトレーニング・マニュアルを用いて行いました。個々のカウンターパートが、独自にGISのトレーニングを実施できるようにするためです。この成果として、「バンサモロ新自治政府」の設立へ向けた計画案の作成では、各プランニング部門のGIS技術者が主要なメンバーとなって、本プロジェクトで作成したデータベースを用いて、計画図等の主題図作成を行っており、目的は十分に達していると感じています。Q5.本プロジェクトの実施において、カウンターパートとの関係構築でどのような点に留意されましたか。A5.本業務のGISトレーニングは、OJTで実施しましたが、トレーニング予定日以外でもカウンターパート事務所のITルームに、支援側のGIS担当を配置することにより、トレーニング参加者が何時でも必要なトレーニングが受けられるように配慮しました。また、参加者は8割がイスラム教徒である写真1技術移転研修ことを考慮し、礼拝がある金曜日午後は休みとして計画するなど、トレーニングがスムーズに進むように心がけました。なお、ローカルコンサルタントが受託した業務であることから、私以外の団員全員が現地の技術者であり、技術移転におけるコミニュケーションギャップは無く、カウンターパートとも良好な関係を構築できたのは幸運でした。Q6.今後海外業務に従事する後進へのアドバイスがあれば、お願いします。A6.海外でプロジェクトを実施する場合、今回のようなJICAによるローカルコンサルタント委託業務以外でも、世界銀行(WB)やアジア開発銀行(ADB)等が実施するプロジェクトのように、多国籍のメンバーが多数参加することがあります。また今後JICAプロジェクトにおいても外国籍のメンバーの活用機会が増えると考えています。このようなメンバーと協働し、カウンターパートと協議し、国づくりなどを支援するためには、それに応じたコミュニケーションの能力が必要となります。海外を目指す若い皆さんには、出来るだけ早い時期に語学力とプレゼンテーションスキルの取得を目指してほしいと思います。?まとめJICAの業務であっても、今回のプロジェクトのように、ローカルへの発注という条件下では、自分以外は全て外国人という事例があります。また、WBやADBのようにそれが普通という事例もあるでしょう。よって、現時点では特殊な事例となりますが、今後は、このような形での国際貢献も増えてゆくものと考え、それなりの準備をしてゆくことも重要なのではないでしょうか。Civil Engineering Consultant VOL.270 January 2016059