ブックタイトルConsultant270

ページ
66/72

このページは Consultant270 の電子ブックに掲載されている66ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant270

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant270

平成27年度WAVE・JCCA欧州インフラ事情調査に参加して欧州のインフラと地質との関係パシフィックコンサルタンツ株式会社環境創造事業本部地盤技術部松澤真MATSUZAWA Makoto■はじめに今回の欧州インフラ事情調査に参加させて頂くことになった経緯は、平成26年度建設コンサルタンツ業務・研究発表会にて、「複雑かつ多様な地形条件からなる山地の土層構造を簡易に把握する技術の開発」という題材で発表させて頂き、幸運にも優秀賞を受賞し、その副賞として当該調査に参加させて頂くこととなった。私の専門は地質学であり、普段、斜面災害に関する業務を主に担当しているためインフラ事情については疎いが、折角の機会のため、本報告では、少しマニアックな内容になるが、視察を通じて見えてきた欧州のインフラと地質との関係について報告させていただく。■視察の概要今回の視察は、平成27年5月31日~6月10日の11日間で、フランス、オランダ、ベルギー、ドイツの4カ国を飛行機・バス・鉄道で移動した。視察のスタートは、パリのシャルルドゴール空港であったが、普通の観光であれば立寄る凱旋門、エッフェル塔などには立寄らず、郊外の都市・町を中心に回った。ハンブルク、およびアイセル湖大堤防について報告する。1ドーヴィルの頁岩ドーヴィルは、ノルマンディ地方に位置しており、人口は4,000人程度と小さい街であるが、港、カジノ、ホテルを擁するリゾートの町である。地質屋の視点からすると、この地域の民家の多くは、頁岩を屋根に使用している事が印象的であった(写真1)。日本ではこのような良質な頁岩はあまり取れないため屋根に使用する地域はほとんどないが、地質のユニットが広く、断層などもあまり分布しないノルマンディ地方では良質な頁岩が大量に入手出来るため、一般的な家屋にも頁岩が使用されているのだろうと感じた。2デエップ城の砂岩&メノウデエップは、人口約3.5万人の都市であり、観光の街として砂浜のある海水浴場やカジノ、ブティック、デエップ城などがある。海水浴場では散歩をしている人も多く、港では地元で獲れた魚を販売する露店も多数あり、■地質屋として感じたことヨーロッパの地質の分布と今回の視察ルートを図1に示す。今回、視察した地域は、ヨーロッパの北部であり、ドーヴィルやデエップなどの南部には中生代の堆積岩が分布し、アムステルダムやハンブルクなどの北部の海沿いには新しい時代の堆積物である第四紀層が分布する事が特徴的である。視察した都市のうち、建築物と地質との関係が興味深かったドーヴィル、デエップ、ブルージュ、図1ヨーロッパの地質分布と視察ルート(地質の分布は、参考文献1より)064Civil Engineering Consultant VOL.270 January 2016