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写真4アイセル湖大堤防:左が北海側、右がアイセル湖側からの港の様子、人々の生活の様子が伺い知ることができ、港を通じて発展してきた都市の歴史と当時の文化を感ずることができた。(2)都市と運河(ベルギー:プルージュ)6/2夜半ベルギーに入国した一行は、翌6/3ゲント市内視察の後、中世の町並みが残るプルージュ旧市街視察を行った。プルージュは9世紀の城塞が起源とされ、歴史的建造物と中世ヨーロッパのかわいらしい町並み「プルージュ歴史地区」が世界遺産となっている都市である。プルージュの旧市街は、市民が集う市場の開始時刻を告げる鐘楼を中心とした街づくりが行われ、またその市街には運河が張り巡らされることで、水辺に映える歴史都市として印象に残るメルヘン都市であった。プルージュに限ったことではないが、欧州各都市において、運河・水路網を多様に活用し、水辺と融合した空間形成を図ることで、背後の土地・建物が映え、またそこに集う人々によって街が活気づいていることが印象的であった。(3)都市と防災(オランダ:アイセル湖大堤防)6/5オランダアムステルダムを出発した一行は、オランダ北西部に位置するアイセル湖大堤防を視察した。全長約30kmにおよぶこの大堤防は、1932年にそれまで湾だったゾイデル海を締め切る堤防として建設された。この大堤防が完成する以前は、北海の暴風がゾイデル海の海岸に甚大な洪水被害を及ぼしていたが、堤防完成後は、北部海岸の洪水を防止する役割以外に、干拓による農地確保、淡水湖による貯水池の確保が図られている。この大堤防の天端は、片側二車線、計四車線の自動車専用道路となっており、海を渡る横断道路として大スケールの景観も大きな見所であった。また、大堤防の海中工事では、粗朶沈床が150万m 2も利用されているとのことで、三国港突堤や常願寺川など北陸の河川でも縁のあるオランダ人の土木技師デ・レーケの土木技術が活かされている堤防なのだと肌で感ずることができた。■おわりに訪問先の欧州各都市は、それぞれの歴史と文化を背景に、都市の地形的特徴に応じた都市・河川・港湾の整備が行われていました。また、それを利用する人と物流が都市を育み、歴史的でメルヘンな都市から近代的な都市まで、街の表情に様々な特徴をもっていたことが印象的でした。日本国内のインフラ整備を担うコンサルタントとして、今回得た五感を大切にし、普段の業務で、すこしでも役にたてたいと思うところです。また、欧州視察からの余韻が残る岐路(羽田発小松空港便)につく機上から、東京湾の埠頭と河口を囲む整然とした密集都市、活動を続ける美しい富士山、急峻な飛騨山脈を越えた後の蛇行河川と扇状地形、夕日の沈む九頭竜川河口の三国港突堤や石川海岸を眺めた時に、欧州と異なる日本の地形的特徴と国土のインフラ形成のあり方について再認識することができた。最後に、各訪問地にまつわる歴史と文化、生活様式など貴重なお話を随所にご紹介いただいた中村先生をはじめ、JTBの高橋さん、各訪問地でのガイドの方々に心から深く感謝いたします。また、JCCA、WAVEの団員の皆様と貴重な空間・時間共有を図れたことに、参加者皆様に大変、感謝いたします。写真5岐路の機上から三国港突堤を望むCivil Engineering Consultant VOL.270 January 2016067