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表2全国に植栽されている街路樹(高木)の本数の変化昭和29(1954)年順位樹種本数比率1プラタナス類88,93031%2イチョウ59,85421%3サクラ類22,9898%4エンジュ類21,9158%5ニセアカシア類21,3548%6外来ポプラ類13,9475%7アオギリ11,4404%8アカマツ・クロマツ類7,4123%9シンジュ4,6092%10ヤナギ類4,4592%その他27,71110%合計284,620100%昭和57(1982)年順位樹種本数比率1イチョウ301,99817%2プラタナス類199,83011%3トウカエデ142,5378%4ヤナギ類91,4265%5サクラ類80,0754%6ケヤキ78,9664%7ニセアカシア類73,2254%8クスノキ67,0014%9イブキ類65,4004%10外来ポプラ類57,0553%その他622,29235%合計1,779,805100%平成24(2012)年順位樹種本数比率1イチョウ569,6848%2サクラ類522,3538%3ケヤキ487,0517%4ハナミズキ360,0965%5トウカエデ321,2745%6クスノキ276,1464%7ナナカマド196,4313%8日本産カエデ類183,1483%9モミジバフウ170,1173%10プラタナス類149,4112%その他3,514,09952%合計6,749,810100%にあった樹種で、今は下位に転落した木としては、プラタナス(写真1)、外来ポプラ類、シダレヤナギ(表2ではヤナギ類)、ニセアカシアなどがある。これらの樹木は、成長が速く剪定コストがかさむため、次第に植えられなくなったのである。また、根が浅く歩道の舗装を持ち上げたり、強風で倒れたりすることも敬遠されるようになった理由である。一方で、ハナミズキは急激に増加した。これは、花や紅葉などの美しさもあるが、成長が遅いため剪定などの管理コストがそれほどかからないことが大きい。ケヤキは成長が速く剪定コストもかかるが、郷土種であり樹形写真1プラタナス並木(東京霞ヶ関)。風格があり大きな建物に似合うが、剪定コストがかさむため今ではあまり植えられなくなったが美しいため、戦後とても増えた樹種である。ただし近年は同じケヤキでも、小型の品種が使われることもある。写真2はケヤキの小型タイプの品種(ムサシノ)である。竹箒を逆さにしたような樹形で、あまり大きくならず、省スペースで省コスト型のケヤキだ。街路樹の歴史には多くの試行錯誤があった。気候、都市環境、病原菌、害虫などに対する適性や、社会のニーズに対する適性を試しながら街路樹は植えられてきた。その結果が現在の街路樹に生かされている。生き物ならではの難しさ街路樹は道路の付属施設である。そして、歩行者を強い日差しから守ったり、安らぎを与えたり、ドライバーの視線を誘導するなど、さまざまな役割を担う。しかし、鉄やコンクリートでできた施設と比べて、生き物である街路樹の管理には独特の難しさがある。それはどのようなものだろうか。剪定樹木は生きるために、枝を伸ばして成長しようとする。しかし、街路樹として利用するためには同じサイズに樹体を維持する必要がある。このため定期的に剪定を行うわけだが、剪定にはコストがかかる。そこでコストを下げるために剪定回数を減らして、ばっさりと刈り込む「強い剪定」がなされることがある(写真3)。こうなると、丸坊主になった姿が痛々しいし、日影も減ってしまう。剪定の手間が少ない小さなサイズの木へ植え替えることも増えているが、小型の木では大きな日影を作ることはCivil Engineering Consultant VOL.273 October 2016011