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写真2 小型のケヤキの品種(ムサシノ)。省スペースで省コストのケヤキとして近年見かけるようになった写真3強く剪定されたプラタナス難しい。樹木は生きるために葉や種子をつける。特に落葉樹の場合、近隣の住民から落ち葉の掃除が大変だという苦情が出て、強く剪定されることがある。ゴルフボール大の実をつけるトチノキは、実が落下して歩行者に当たったり、車に当たって傷をつけたりするおそれがあるため、実が大きくなる前に強く剪定されることも多い(写真4)。生物の生きようとする力と矛盾する要求も、街路樹には求められる。このため、街路樹の管理にはさまざまなジレンマがつきまとう。ぬ宿命を負っている。劣悪な環境や病気によって、衰弱する木が出てくれば、倒れたり枝が落下したりする危険が生じる。そこで、個々の街路樹の健康度のチェックを行い、枯れかけた枝を切り落としたり、倒れる危険のある木の伐採や更新が必要となる。街路樹には、きめ細かい世話が必要なのである。また、街路樹の更新で難しいのが住民感情だ。鉄のガードレールの交換と異なり、生き物である木には住民の思い入れがある。このため、地域住民に長年親しまれてきた並木などでは、伐採に対する反発が起きることもある。健康管理と更新道路は樹木にとって生育しやすい環境とは言えない。根を思うように伸ばせない狭い空間(植え桝)に植えられ、車の排気ガスを浴び、歩行者に根を踏みつけにされることもある。また街路樹は、病原菌や害虫の攻撃にも常にさらされている。樹木の病気には、クロマツやアカマツを枯らすマツノザイセンチュウ病(松枯れ)や、ホルいおうトノキを急激に枯らすホルトノキ萎黄病のように、大量の木に壊滅的な被害を与える伝染病も存在する。街路樹も生き物である以上、いつかは弱り、枯れて死逸出樹木は生きものだから子孫を残そうとする。そこで「逸出」が起こることがある。逸出とは、本来の自生地から遠く離れた場所に人為的に持ち込まれた生物が、野生化して繁殖する現象で、その土地の在来種を圧迫するなど生態系への影響が懸念されることがある。かつてよく街路樹として植えられたニセアカシア(北米原産)やシンジュ(中国原産)などは、逸出が問題となっている樹種であり、地域によっては逸出した個体を排除する方針の自治体もある。近畿地方でよく街路に植えられて012Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016