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写真4ゴルフボール大のトチノキの実。落下して歩行者に当たらないように、実がなる前に剪定されることもあるいるナンキンハゼ(中国原産)も逸出しやすい。今までにない目新しい樹種も街路樹には求められるだろうが、外来種の導入には逸出に対する注意も必要になる(写真5)。これからの街路樹全国の街路樹の本数は600万本を超えた。これからもその本数は増えるだろう。しかし、重要なのはその質である。植えられた街路樹が最大限の機能を発揮することが理想だろうが、それは容易ではない。街路樹は生き物だから育てるには手間と暇がかかる。また、街路樹の将来を考えるには時代のニーズを見通す必要がある。サクラ類は花がきれいだが、根が浅いために歩道の舗装を持ち上げる。高齢者が増えると転倒のリスクも増える。ケヤキは大きくなって日陰を作るが剪定コストがかかる。街路樹の本数が増えてくると、1本当たりの剪定コストは一層の削減を求められるだろう。タフなイチョウは街路樹としては優秀な木だが、イチョウが増えすぎれば画一的だと批判を受ける。街路樹にはいろいろな能力が要求されるが、そのすべてを満たす万能な木はない。生き物は人間の思うとおりに育つわけではない。だから、街路樹を活かすためにはいろいろな樹種と、様子をみながらつきあっていく手間が要る。これからの街路樹事業にも手間暇をいとわない、樹木との地道なつきあいが必要だろう。写真5 街路樹の親木のまわりに種子が散布され、芽生えたシンジュの稚樹。逸出の例である<参考文献>1)『国土技術政策総合研究所資料第780号わが国の街路樹Ⅶ』(2014):国土交通省国土技術政策総合研究所編集・発行2)『わが国における街路樹種の近年の動向』(2001):豊原稔ほか著、ランドスケープ研究64(5)Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016013