ブックタイトルConsultant273

ページ
28/60

このページは Consultant273 の電子ブックに掲載されている28ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant273

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant273

特集まちと樹の共生?木との付き合い方を探る?6新しい樹とまちの共生の場?大手町の森?蕪木伸一KABURAGI Shinichi大成建設株式会社設計本部/専門技術部長都心のまん中、大手町に新しく森が作られた。人の集まるまちに公園や広場ではなく、あえて森をつくったこの試みは、建物やインフラなど周辺の人工物、さらに既存の自然とどのように調和させ、どのようなプロセスを経て実現させていったのだろうか。新しい都市空間としての自然の森本プロジェクトは、2007年に都市再生特別地区制度によって都市計画上位置づけられた民間再開発である。その主要公共貢献のひとつが都市に「森」を創出することであり、都市環境、都市アメニティの向上を重要なビジョンとした。東京の最高密度の市街地に創出した「大手町の森」は、従来の人工的な広場整備とは異なり、都市空間に野生や自然感を取り戻す、新しいかたちの公共空間、その概念を象徴する「森」であり、約3,600m 2の公開緑地である(写真1)。している。森の一部は、地上から地下のプラザまで連続するようなサンクンガーデン(地盤より低い位置につくられた半地下の広場)として計画し、豊かな緑と光が建物に入り込むように地形をデザインしている(写真3)。森のエリアはすべて躯体下が建物利用されている人工地盤上の緑化であり、荷重の観点から人工軽量土を使用し、基本的には土壌厚を1.3m以上確保して、今後計画概要計画地は地域の賑わい軸である仲通りの端部に位置し、大手町地区への玄関口となっている。さらに、周囲を地下鉄5路線に囲まれており、地下空間の整備および地上・地下歩行者ネットワークの構築が重要な課題であった。このため、地上のオープンスペース全体を緑のキャノピー(ひさし)で覆い、緑陰を人々が行き交うにぎわいの空間、ベンチやカフェを併設する自然の中で寛ぎ、人と触れ合う空間とした。隣接する仲通りが森の中に延伸されるイメージである。また、市街地の道路空間と森との間には半透明のガラススクリーンを設け、森の領域を明確化すると同時に、植物にとって厳しい市街地環境から受ける影響を緩和する森のマント植栽のような機能を担っている(写真2)。地下鉄駅をつなぐコンコースは地上からの光を充分に取り入れ、地下空間におけるアメニティを大幅に改善写真1大手町の森。全景026Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016