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の高木の生育に対して必要な植栽基盤を計画している。このことにより、自然の降雨だけでもかなりの保水ができている。都市環境計画東京大手町の特筆すべき環境ポテンシャルは、都市における広大な緑地としての皇居の緑である。この緑は、都市環境におけるクールアイランドの形成や風を呼び込み、生物多様性の観点からも生き物のソースとしての役割を担う。大手町の森はその緑のネットワークの一部を形成するパッチであり、クールスポットとして都市環境の改善に寄与すると考えられる(図1)。・生態系ネットワークの形成日本橋川沿いには、神田橋公園や常盤橋公園などのまとまった緑地が点在し、緑の拠点としての皇居とそれらを中継する飛び石状のネットワークの一部を大手町の森が担い、生物の移動拠点のひとつとなっている。本計画においては、周辺に点在する緑地のポテンシャルを把握するために、計画時から生物の多様性に係る文献や実施調査を行い、大手町の森ができた後の効果を、フォロー調査により把握する。・ヒートアイランドの緩和夏場のまとまった緑による気象緩和効果を計画時に温熱シミュレーションにより確認している。その結果、敷地に森がない人工的な環境においては、真夏の日中における平均気温は敷地内・周辺ともに35.0℃であった。一方、敷地内に3,600m 2の森を設けた場合は、敷地内の平均気温は33.3℃となり、森がない場合より1.7℃も低下することが確認された。また、敷地周辺についても、森がある場合は0.3℃低くなり、森の冷却された空気のにじみだしによる効果が確認されている。・水循環利用写真2大手町の森。樹林内写真3地上から地下に連続する森風風風鳥・昆虫鳥・昆虫図1大手町の森の都市環境に係るイメージ充分な厚みを持った人工地盤の土壌は基本的に雨自然の森の計画手法水の大部分を保水する。一方、屋根に降った雨や人工地「森」に象徴される自然感や野性を、3,600m 2の限ら盤からの排水は地下の雨水貯留槽に集め、植栽への潅れた空間規模、かつ厳しい人工的な都市環境のなかで水に利用している。実現する設計手法を検討し、高質な空間デザイン構築の方法論を探った。豊かな表情を持つ自然の森の構造特性を把握するため、皇居二の丸、横浜市や武蔵野のCivil Engineering Consultant VOL.273 October 2016027