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行った。3年間に渡ってプレフォレストで育成した樹木や地被類は最終的に計画地に移植する事で、竣工後素早く充実した自然景観を形成すると共に、枯れリスクも軽減することが可能である。さらに技術的な検証の他に、大手町につくられる森の姿を関係者で共有し、将来の整備目標や維持管理を具体的に議論することができた。これは竣工後の合理的な維持管理方法の構築へとつながる重要な契機となった。大手町の森の維持管理とフォロー調査・維持管理方針魅力ある都市のアメニティを創出し、生物の生息にも配慮した緑地を維持するためには独自の合理的な管理が必要である。大手町の森では「遷移にまかせず、適切な手入れをすることで、人が心地よく、生き物が棲みやすい、常落混交の明るい森を維持する」ことを長期的な管理目標とし、管理作業方針を策定している。・生態系に係るフォロー調査まとまった緑による生物の移動拠点のひとつとして、皇居や日本橋川との生態系のネットワークに貢献することを目指しており、その効果検証のために2013年10月の竣工直後からモニタリング調査を実施した。初年度(2014年10月まで)の結果を下記に示す。【植物】木本~草本で306種類を確認した。都市の過酷な環境への適応に差が生じており、春植物のうちニリンソウは順調な開花が見られたが、キツネノカミソリはプレフォレストに比べ開花が少なかった。306種類の内198種類は当初植栽したもの以外であった。外来種や景観を乱す種は除草対象とし日常維持管理作業で除去している。【鳥類】計画時に誘致目標とした14種類のうちメジロなど8種類、それ以外3種類の合計11種類を確認した。その殆どが都市鳥であったが、キビタキなど夏の渡り鳥の飛来も見られた。設計図通りに仮植え別の敷地図3プレフォレスト概念図計画地図4利用者アンケートまとめ様々な検証を実施【昆虫】スジグロシロチョウなど94種類を確認した。鳥類と同様に都市で通常見られるものが多くを占めた。・利用者アンケート大手町の森の竣工後約1年半経過した春先に、専門誌である『LANDSCAPE DESIGN』(マルモ出版)の編集部とともにヒヤリング調査を実施した(図4)。殆どが森に対し良い印象を持ち、特に女性に好評であった。昼休みには周辺のワーカーが緑陰の下で、ゆったりとした時間や会話を楽しんでいる様子が伺え、都市に森をつくる計画理念を再確認する事ができた。<参考文献、図・写真提供>図2新建築社図4LANDSCAPE DESIGN No.102写真1三輪晃久写真研究所写真2?345g Photography3年そのまま計画地へ移植移設Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016029