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岩沼市おくのほそ道第15回おくのほそ道「むすびの地」島根県広島県下関山口県尾道福島市出雲崎町福島県新潟県須賀川市白河市株式会社建設技術研究所/地球環境センター高岡市松嶋健太MATSUSHIMA石Kenta川県(会誌編集専門委員)富山県群馬県栃木県小松市長野県茨城県福井県岐阜県埼玉県山梨県鳥取県大垣市京都府『兵蛤庫のふたみに県別れいく秋ぞ』千葉県岡山県大阪府香川県奈良県佐賀県福岡県愛媛県高知県徳島県和歌山県大分県長崎県熊本県宮崎県鹿児島県1戦災後復元された現在の大垣城元禄2(1689)年3月(新暦5月)に江戸深川を発った松尾芭蕉は、おくのほそ道の「むすびの地」である大垣に同年8月21日(新暦10月4日)入った。一度は離れた弟子の曾良や露通、以前から交流のあった大垣の門人たちとの邂逅があり、旧交を温めあうなど大いに歓待されたことが記されている。芭蕉の大垣来訪はこの時が前年に続く3回目であり、船問屋を営むたにぼくいんじょこう門人である谷木因邸に宿泊し、近藤如行らと連句を残すなどしている。全行程約2,400km(約600里)に及ぶ長旅の疲れから、一時は床に臥せたこともあったようだが、門人であちくこる竹戸のあんまで快復し、9月6日には船町湊より木因の船で伊勢神宮を目指して出立した。生涯に4度訪れるなど、芭蕉が愛した大垣は水の都として知られ、環境省の「平成の名水百選」に選定された加賀野八幡神社の井戸など、自噴する湧水に恵まれた土地である。これは木曽川、長良川、揖斐川の木曽三川の伏流水の集まる全国有数の自噴帯にあるためで、かつては各家庭に自噴泉があり、24時間流しっぱなしの水槽で毎日野菜や果物を冷やしていたとのことである。このように水に恵まれた大垣には、揖斐川をはじめとする15本の一級河川が流れ、この地に築かれた大垣城もこの豊かな水を利用した4重もの水堀に囲まれた平城である。加えて美濃路の要衝でもあったことから、江戸時代を通して城下が発展し、それに伴って町人の町である町屋も広がりをみせた。この町屋の一つであり、美濃路沿いに発展した船町では、堀の水を集めた水門川を南下し、揖斐川を抜け、桑名湊にでる水運が発達し030Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016