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Project 2 briefプロジェクト紹介環境に配慮した川づくりへの建設コンサルタントとしての取り組み中村創NAKAMURA Hajimu大日本コンサルタント株式会社インフラ技術研究所川づくり研究室主任研究員橋本健一HASHIMOTO Kenichi大日本コンサルタント株式会社関東支社防災技術部港湾計画室係長新井聖司ARAI Seiji大日本コンサルタント株式会社インフラ技術研究所新エネルギー事業室主任■構造物の安定性やはぎいちき■はじめに矢作川水系一級河川市木川(図1)036Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016日本における環境に配慮した川づくりは、昭和61年頃、ヨーロッパのドイツ語圏を中心に取り組まれてきにおいて、当社が設計・施工指導・事後調査に関わった事例を報告する。魚道の安定を図るためには、河川の上流からかかる流体力や転がってくる巨石の衝撃力に対処する事がた近自然河川工法が導入され、平必要であり、力石を支点としたアー成2年に「多自然型川づくり」の通■NPO市木川美化チ構造を採用するとともに、魚道に達が当時の建設省より出されてから■ボランティアの会使用する石材を以下の工夫と共に始まった。その後、平成18年から「多自然川づくり」として再出発している。魚道についても平成3年に「魚が上りやすい川づくり事業」として通達が出され、平成17年に国土交通省河川局から『魚がのぼりやすい川づくりの手引き』が出され、現在に至っている。一般的な魚道は、階段式、アイスハーバー式等の人工的な形態が多いが、ヨーロッパ諸国では、落差を多段式から早瀬状に改善した近自然魚道が工夫されている。日本でも同工法が導入され、河道条件に合わせた工夫が行われてきたが、事例が少なく、設計法についても確立されていない状況である。そのため、適用の際には事前・事後調査をかつて水車が回り、洗濯、水浴に大切に使われていた市木川は、昭和47年の災害により改修され、今の姿になった(写真1)。急速な都市化による水質悪化を下水浄化施設で改善した上で、街のシンボルである市木川を子や孫に「ふるさと」として残したいという思いから「市木川美化ボランティアの会」が設立され、河川の定期的な清掃や植樹を行っている。その会の中で、水質浄化や河川の清掃が進んだため、子供たちがそこで魚を取ったり見たりできるようにしたいという意見が出され、落水叩き上にコンクリートで固定した。・石材は、力石が平均径1.0m程度、輪石が平均径0.6m程度のものを使用した。・設置する石材の角度は、流れに対して30度以上下向きに傾けて、流体力や巨石の衝突による外力を受け流す構造とした。・魚道本体より下流の河床については、『床止めの構造設計手引き』に従って魚道周辺の不等流計算を行い、護床工の範囲を設定した。伊保川籠川矢作川愛知県河口から実施し、設計にフィードバックしてい差工への魚道の41.6km付近く事が重要である。また、具現化に必要な石積みの技術が失われてお設置や落差工間の河道の近自然矢作川市木川り、伝統工法を知る石工による施化が提案された。市木川魚道工指導が必要である。設置位置これらを踏まえ、愛知県を流れる図1魚道設置位置図